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零くんはズカズカと私の方へ迫って来て、私を抱き締めた。
『え、え、え、え…』
「…良かった」
そう言って更に抱きしめる力が強くなっていく。
ちょ、苦しい苦しいッ!ゴリラパワーッ!!
『降谷さん、苦し…』
「ッすまない…」
そう言って力を緩められる。
『あの…降谷さん、』
「…なんだ」
『言いづらいんですけど………お医者さん、いらっしゃいます…』
そう言うと零くんはバッと私を離した。少し名残惜しく思っている自分を見えないふりしていると、零くんは先生に「続けて下さい。僕も聞きます。」と何事も無かったかのように言い放った。やっぱり気付いてなかったのか。すると先生は何を思ったのか「すぐ終わらせますね」と言い生温かい目で私を見てきた。やめてその目!!
その後説明は本当にすぐ終わり、先生達は出て行った。そして病室には今、私と零くんだけ。
えっ…きっまずい
今回迷惑かけちゃったし
加えて昔のこといろいろ思い出しちゃったし
頭の中がごちゃごちゃしてて整理出来てないから、何を話せばいいのか、言葉が出ない
私が頭をぐるぐる回していると零くんはベッドの脇に椅子を持ってきて、腰をかけると口を開いた。
「…目覚めて良かった。足の痛みは?」
『え、と、まあ少しは…痛いですね』
嘘です、超痛い
あの男…刃物でグリグリはアカンて(唐突の関西弁)
ちょっと動いただけでも痛みがはしる
『ま、まあ命に別状は無かったみたいですし、そんなに心配しなくても…』
「部下が腕の中で意識失ったら心配するに決まってるだろ。助けるのが遅くなってすまなかった。」
『い、いえ…!助けに来てくれてありがとうございます…こちらこそご迷惑をかけました』
今回の件は完全に私の力不足のせいだ
零くんが謝る必要なんてない
これじゃ部下として零くんに頼ってもらえることも
認めてもらうのもまだまだだ
自分の不甲斐なさに嫌気がさす
謝らないでよ
「…皐月」
『は、はい!』
「何か僕に言いたいことがあるなら言え。
ここ最近お前が不満そうな顔をしていたのには
気付いていた。」
『え。』
私の表情筋素直過ぎなんだけど
私のポーカーフェイスのスキルが雑魚過ぎる
「全部聞くから、言ってくれ。
部下としても、好きな女としても、お前の気持ちを見ないふりなんてしたくないんだ。」
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お米。(プロフ) - やっちさん» 返すのが遅くなりすみませんでした!コメントありがとうございます<(_ _)> やっちさんのコメント見て「はっ!マジでそろそろ書かなヤバい」と意識が戻ってきましたありがとうございます笑 これからもボチボチ更新して行きますね! (2022年5月15日 11時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 今晩は。続きが読みたいです〜 (2022年4月14日 21時) (レス) @page14 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
お米。(プロフ) - 羊型の画面クリーナーさん» コメントありがとうございます!とても励みになります!暫くの間お待たせしてしまってすみません!完結まで頑張ります! (2021年8月17日 18時) (レス) id: ef08fd2dc5 (このIDを非表示/違反報告)
羊型の画面クリーナー - もどかしさで床に寝転がってバタバタしてる← (2021年8月15日 14時) (レス) id: 3429c88509 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 続編おめでとうございます。待ってました!夢主ちゃんついに記憶が戻ったんですねー!早くくっつけーと思うけど色々考えちゃって伝えられない気持ちわかるーーー。早くラブラブになれー (2021年8月4日 18時) (レス) id: b56edad0a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お米。 | 作成日時:2021年7月31日 17時