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車を走らせて間もなく、その時は来てしまった。
「で、話したい事ってなんだ? 困った事があるんだったら早めに言え。……前回みたいなのは勘弁して欲しいからな」
『アハハ…えーと、ですね』
なんかあらぬ誤解を生んでしまっているようで、思わず言い淀んでしまう。
いや、そうでなくても零くんみたいにハキハキした告白なんて出来ない。
告白って車の運転中にするものなのか??
「皐月?」
『へぁっ、!?』
「なんだその鳴き声は」
『鳴き声って』
変な声出ちゃいましたけど鳴き声って。
「…どうした、なんでさっきから挙動不審なんだ」
『ふぅ………降谷さん、とても大事な話をする予定なので一旦車を止めていただけますか』
私は零くんの顔をしっかり見てそう言った。
今私の顔はたぶん赤いだろうけど、暗いからきっと零くんには見えていないはず。
「…? あぁ…」
それから暫く走行して、車を停める場所を見つけ、車は動きを止めた。
私は落ち着くために静かに深呼吸する。
覚悟は決めた。
「で、大事な話って___」
『好きですッ!!』
「…は?」
『あ、や、えと、降谷さんのことが__ひぇっ』
言い終わる途中で零くんにガバッと抱きしめられたものだから変な声が出てしまった。最悪。
告白だってもっと落ち着いて言うつもりだったのに変にどもったし、二重の意味で恥ずかしくて死にそう。
「これは…確かに大事な話だな。本気なのか?」
『…はい、本気と書いてマジです。緊張で爆発しそうです』
「ははっ、爆発か。それは大変だな」
『笑い事じゃないです』
「…僕もAが好きだ」
『ッ、私も…』
ギュウギュウに抱きしめられ、嬉しそうな声色でそんな事言われたらこっちまで嬉しくなり、その背中にそっと手を回す。
けどちょっと苦しい。
『…あともうひとつ大事か大事じゃないかよく分からない話が』
「……なんたその話。どっちなんだ」
『…どうやら私、降谷さんの事ずっと昔から好きだったみたいです』
「……昔、?」
零くんは一度体を離すと、肩に手を置いたまま揺れるような青い瞳で見つめ、問いかけてくる。
告白した事や覚えてないかもしれないと思うと目を逸らしてしまう。
『えっと、10年以上も前の事だから覚えてな、』
「覚えてる。忘れるわけないだろ。…記憶、いつ戻ったんだ。少なくとも初めて公安部に来た時は覚えてなかったはずだ」
『…つい最近です。入院してた時には既に…』
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お米。(プロフ) - やっちさん» 返すのが遅くなりすみませんでした!コメントありがとうございます<(_ _)> やっちさんのコメント見て「はっ!マジでそろそろ書かなヤバい」と意識が戻ってきましたありがとうございます笑 これからもボチボチ更新して行きますね! (2022年5月15日 11時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 今晩は。続きが読みたいです〜 (2022年4月14日 21時) (レス) @page14 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
お米。(プロフ) - 羊型の画面クリーナーさん» コメントありがとうございます!とても励みになります!暫くの間お待たせしてしまってすみません!完結まで頑張ります! (2021年8月17日 18時) (レス) id: ef08fd2dc5 (このIDを非表示/違反報告)
羊型の画面クリーナー - もどかしさで床に寝転がってバタバタしてる← (2021年8月15日 14時) (レス) id: 3429c88509 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 続編おめでとうございます。待ってました!夢主ちゃんついに記憶が戻ったんですねー!早くくっつけーと思うけど色々考えちゃって伝えられない気持ちわかるーーー。早くラブラブになれー (2021年8月4日 18時) (レス) id: b56edad0a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お米。 | 作成日時:2021年7月31日 17時