月島くんと手話少女2

おにいちゃん ページ39

｢けーおにいちゃん、この字何て読むの？｣



｢え？｣



もうすぐ二人が帰ってくる時間



伸一君が僕の所に来て雑誌の文字を指した



｢みやび…だね｣



｢みやび？…綺麗なこと？｣



｢んー…まぁ…簡単に言えばね｣



｢でも美しい？っていうのもあるよね？｣



｢だね｣


｢何が違うの？｣



この歳の男の子に説明出来るのかそう思っていると伸一君は



｢あ！｣


｢じゃー、みやび、と美しいが一緒だったらすごく綺麗で可愛いのか！｣

と目を輝かせながら言った



｢そうだね｣






『？』



｢あ！おねーちゃんっ｣



｢ごめん、食器洗いまでしてもらって｣



“いいよ、それより何かあったの？”



｢あぁ実は…｣



ガチャ



玄関が開く



｢ただいまぁーっ｣


｢姉さん、鞄！忘れてる！｣


二日ぶりの声に最初に反応したのは伸一君だった


｢ママ！おかえりなさいっ｣


｢おっとと、ただいま。いい子にしてた？｣



｢うん！｣



｢あのね｣


｢？｣


｢伸一、おにいちゃんになるよ｣



｢え！？本当に！？｣


まさかのことに僕も驚く


｢伯母さん本当に？｣



｢うん、まだそんなにたってないんだけど…｣



｢おめでとう｣


従兄弟が増えるのか


そう思うと楽しみだった


｢ありがとう、彼女ちゃんもこの子のことありがとうね｣



『！』


彼女も頭を下げる


｢ママ、みやびと美しい！｣


｢え？｣



戸惑う伯母さんに僕が説明する



｢そういうことね｣


｢お兄ちゃんになるんだー僕！｣







その後生まれた女の子の名前は


雅美


になった



｢でさ、本当可愛くて｣


『ふふっ』



｢？｣



“蛍くんはいいお父さんになりそうだね”



｢君は優しいお母さんになれるね｣



『…』

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