フライゴンの主 ページ8
──翌日。
目が覚めてモゾモゾと動くと
いつもの土の匂いとは違い、
石鹸のようなスッキリした匂いが鼻についた
あぁ…そういえば私はフライゴンに乗って、
ホテルに泊まったのだっけか…
あんな綺麗なお風呂なんて何十年ぶりだか…
『…メッソン？』
〈ジメッ〉
『あぁ、良かった。おはよう』
一瞬、傍に居ないかと思ってヒヤッとしたぞ
メッソンの冷たい手を頬に当て、
昨日の夜を思い出す
暗くてよく見えなかったが
み空色の瞳で八重歯があった…好青年って奴かな
『私は…平和な世界にやってきたんだなあ…』
私の言葉に首を傾げたメッソンに
なんでもないとはぐらかしたが、私は確信した
此処は戦場のひとつもない世界だと
なら戦場に居た私は死んで
天国に似たこの世界に来たんだろうな…
『さ、支度しようかメッソン。
この世界について情報が欲しいし、
助けてくれたキバナさんに礼をしないとな』
不思議そうに見るメッソンを撫でる
まあ何処に居るかとか分からないが…
会ったらってことで、とベッドから降りた
替えの服もないので仕方なく
軍服を着て部屋を出る
キバナさんの為に早く出ようと
チェックアウトしに受付へ向かうと
ホテルのボーイに呼び止められた
「あ、お待ちくださいA様！」
『？ 何か？』
メッソンと目を合わせ、ボーイの口から出た伝言に
一緒に目を見開いてお互いに顔を合わせた
�爛�バナ様から、ここのロビーで待つように…
と伝言を聞きましたのでお伝えします��
『──まさか恩人自ら来てくれるとはな…』
ホテルのロビーでふかふかのソファに座り、
膝の上にメッソンを乗せて撫でながら思考する
手間が省けたが…彼は有名人のようだったし、
赴いてくれるのは有難いが罪悪感も少々…
それに私が彼に話があるなら納得するものの
彼の方が私に話があるなんて…
あ、私怪しまれているのか！
それなら納得だ。確かに私怪しいものな！
「あっ見つけたわ！怪しいの！」
『そうこんな感じに……ん？』
しかし来たのはキバナさんではなく
全く面識がない女性だった
ど、どちら様ですか…？
「私とバトルしなさい！」
『いやあの、誰…ですか…？』
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作者名：飽き性 | 作成日時：2022年3月5日 2時
