【MHA/d.!】無腕の女王様 (ページ48)

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緑谷という個性の第一歩ページ48

もちろん私が肉の破片になることなど無く
ちゃんと緑谷の拳を受け流した

しかしそんなことより…
私は緑谷の右腕を見て、笑みを浮かべた

―成功だ。

次に緑谷自身を見ると
己がしたことに絶望でもしているのか
魂が抜けたかのように殴ったままの姿勢で固まっている

『緑谷、緑谷』

緑谷「…A、さんっ…？」

『私は大丈夫だ』

今にも泣きそうな…いやもう既に
ボロボロと泣いている顔があらわになる

緑谷の瞳に私のニヤニヤ顔が映ると
かなり安心したのかふらっと気を失った

咄嗟に倒れてきた緑谷を受け止めた

…すまなかったな緑谷
だがこれでようやく、第一歩が踏めたな

『おめでとう、緑谷出久』

…だが始まってすぐに休ませるつもりはない
起こさせてもらおう

マイナス温度の冷水を緑谷の上で創り
反重力を解除する

緑谷「びゃああああああああああ！！？」

『おはよう緑谷、せっかく成功したというのに
　すぐ気絶するなんてまだまだだなあ？』

緑谷「えっ！あっあれぇ…！？う、うでが？
　えでもっ、Aさん？Aさん！？」

混乱したままの緑谷はまた泣きそうな涙目で
私と自分の腕を交互に見る

つい可笑しくて堪えきれず笑い声をこぼす

『おめでとう緑谷。
　気絶したものの君は無意識的に
　個性を制御したんだ』

緑谷「え、あ、ああ、ありがとうございます…！」

最初は虚を突かれたような顔で
ポカンとしていたが
状況を理解するとすぐにブツブツと自己分析を始めた

緑谷「あの時と今の違い…物質と生物に対しての意識の違い？
　あの時に聞いた13号先生の言葉を思い出したから？
　僕は初めて人間に使ってしまうと思ったから無意識的にブレーキをかけたってこと？
　次にやろうと思えば意識的にするから難しい…だから(ry」

ふむ、私から聞こうとしていたが
余計なお世話だったようだ

…ちょっと途中から聞くのを諦めたが
中々良い線をいっているのではないだろうか

これならすぐとは言わずとも
土壇場の馬鹿力というもので成功するんじゃなかろうか

この後、本当に石柱を全力で殴らせたが
腕一本丸々、複雑骨折になってしまった

しかし気絶するほどの痛みではないらしく
フラフラになりながらも意識を保っていた

治してはまた骨折し、また治しては…をして
五回目が来ようとしていた頃には
しんぺい神には今日はもう限界だと告げられた

まあ夕方に差し掛かってきたし
緑谷を創ったリムジンで帰らせた

目立たせてしまったのは後日謝ろう