【MHA/d.!】無腕の女王様 (ページ3)

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悪ガキと素直な子ページ3

あともう少しで思い出せ……

「おぉい！！」
『うわうるさっ！』

しかし私の思考は悪ガキの大声により
霧のようにまた消えてしまった

このガキホンマ…！八つ当たりに煽ってやる

『ええ？なんか言ってたあ？
　それともキミも頬にキスが欲しいのか？』

「んなわけねえだろババア！！」

『おいまだ私は五歳だぞ！目ェ腐ってんのか！
　びしょ濡れにしてやろうか！』

「上等だババァ！」

と言うと手のひらにバチバチと小さな爆発が起こっていた
しかも彼の顔が勝利を確信したような様子だ

…なるほど、自尊心が溜まりに溜まっているのか

漫画のようなかませ犬みたいな過信に
思わず笑いをこぼす

『ふっ、まさか自分が一番凄いとでも？』

「あぁ！？」

『確かにその個性は凄いが…
　未だ個性が出てない私でもキミに勝てるぞ
　断言出来る』

「ッしね！！」

私には前世の経験という圧倒的な知識がある
幼き身にして毒も痺れも耐え身体も鍛えている

殺気だけでも出来そうだが
鈍すぎて気付かないという可能性もあるから…

「……あ？」

子供を痛める趣味も無いので
額に口付けだけで済ませてやった

だがそれより先に個性が消えたように見えた…
ということは殺気を感じたわけだ

『おお、本能で殺気を感じて個性をとめたか
　暴れる獣も大人しくなるものだな？』

「なっ…」

『ほうら、個性なしでも勝てた』

ガキ相手に情けないと思われるかもしれないが
コイツの自尊心と過信が過ぎるので
将来のためにも、という訳で許して欲しい

…まあ六割八つ当たりに近いけども

すると悪ガキは怒りか恥のあまりか
顔を真っ赤にし走り去ってしまい、
取り巻きらしき男の子たちもついて行った

が、緑髪の子は私にキラキラと目を輝かせていた

「す…っごーい！！おねえちゃんすごい！
　あのかっちゃんに個性なしで勝つなんて！」

『そ、そうか？ありがとう
　…キミはそのかっちゃんに勝ちたいのか？』

「…うん。でも、ボク、無個性で……」

ふむ、才能の差か……
ならばと私は好意でひとつふたつと御教授した
ちょーっと難しい単語を並べたが、
なあに、歳を取れば分かるようになるだろう

「うーん……わ、わかりづらいよ」

『ま、つまりは努力は偉大なもの。ということだ』