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. 悪夢の始まり
「 きゃー!! 」
翌朝、いつものように雄登と登校したAは、
早くも異変に気付いた。
昨日置き忘れていた文庫本を取り出して
読み始めようとすると、
挟んであったしおりに、血の跡のようなものが
無数に垂れていたのだ。
「 どうした、A 」
雄登が駆け寄ってくる。
Aがしおりを恐る恐る見せると、
思わず雄登は後ずさった。
「 え、なにこれ...... 」
もしかして、と思うものが二人にはあった。
しかし、まさか、と思う気持ちも強かった。
流石に、普通の人ならこんなことはしないだろう。
いや、しかし作間は普通ではなかった。
「 や、やばいって 」
雄登はしおりを取り上げ、
教室のゴミ箱に捨てようとした。
「 待って 」
Aがそれを制する。
「 本人に聞いてみよう。違うかもしれないし 」
「 いや、でも流石にこれは...... 」
雄登は納得がいかない様子だった。
今にも職員室に駆け込みたい、といったところだ。
「 もし作間くんだったとしたら、どうしてこんなことをしたのか聞こう。理由をちゃんと聞こう 」
Aはハッキリとそう言った。
理由を聞いたところで教えてくれるはずがない
と雄登は思ったが、
今はAに従うことにした。
「 大丈夫。雄登は心配いらない 」
と言ってAは笑ってみせた。
この世界で1番、強くて美しい笑顔だった。
その少し後で、雄登は気を失いかけた。
Aと話をした後、自分の席に戻ると
机の中に、
見覚えのないものが入っているのがわかった。
手を突っ込み、出してみると
それは血のついたカッターナイフだった。
雄登は全身から血の気が引いて、
身体が震え出すのがわかった。
「 ......A...... 」
幸い、というべきか、不幸というべきか
朝の早いこの時間は、
教室に二人の他に生徒はいなかった。
「 何? 」
Aは緊張しながら雄登のところへ行く。
雄登が手にしているものを見て、
思わず尻もちをついた。
「 な、にそれ...... 」
声は震えて、喋るのもままならないほどだった。
机の中に入ってた、と雄登が言った。
二人は確信した。
作間は尋常ではない人間だ、
早く大人に報告しなければならない、と。
「 おはよう、二人とも 」
その時だった。
作間が颯爽と教室に入ってきた。
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作者名:素粒子 | 作成日時:2019年3月12日 0時