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. ざわめき出した感情
「 あっ、ちょうど良かった 」
雄登と廊下を歩いていると、
担任に呼び止められた。
「 何がです? 」
「 このプリント、作間に渡しておいてくれ 」
さっき忘れちゃってね、と
無邪気に頭を掻いた。
「 あー、はい 」
Aは曖昧に返事をし、受け取った。
そして雄登に渡す。
「 え?これはAが頼まれたんじゃん 」
「 雄登のケチ。それくらいやってよ 」
雄登は頼まれたら断れないたちなので
仕方なく受け取った。
放課後の教室には、
帰りの支度をしている作間がいた。
Aは図書室に行っている。
「 作間くん、これ 」
雄登が受け取ったプリントを渡す。
「 ああ 」
作間が受け取る。
その動作はあまりにもしなやかだった。
雄登がうっとりしてしまうほどに。
細長い指でプリントを受け取った作間は、
雄登に微笑みかけた。
「 ありがとう 」
雄登は硬直して、動けないでいた。
作間は平然と教室を後にしていた。
図書室で本を見ていると、
後ろに気配を感じた。
雄登か、と思い振り向いたAの目線の先には
作間がいた。
「 え、作間くん 」
思わず素っ頓狂な声が漏れる。
「 ふふっ。こんにちは 」
「 ど、どうして? 」
放課後の図書室には、
生徒はほとんどいなかった。
少しオレンジがかった光が
窓から射し込んで、二人の顔を照らしている。
「 話してみたかったんだよね 」
「 わ、私と? 」
Aは頭上にはてなマークを浮かべた。
すると作間はおもむろにAの頭を撫でた。
「 ...?!何!? 」
Aは作間の手を払い除け、後ずさる。
「 本当はさあ、プリント、Aさんが持ってきてくれる予定だったんでしょ? 」
どうしてそれを、とAが作間を見る。
その目は、ほとんど作間を睨むようでもあった。
「 那須くんから聞いたよ。二人は幼馴染なの? 」
「 ...作間くんには関係ない 」
とAが言うと、
作間はAの顎に手を伸ばして接吻をした。
短い、爽やかな口づけだった。
「 何すんの!! 」
「 ...ふふ。Aさんのことが知りたいだけだよ 」
と作間は小さく笑った。
Aは目の前の作間の胸を押して、
足早に図書室から出た。
早く雄登に会いたい。
怖いよ。助けて。
Aの頭の中は、それだけだった。
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作者名:素粒子 | 作成日時:2019年3月12日 0時