あおぞら列車/f ページ43
気持ちよく晴れた空は私の心をそのままに表して、
気持ちいいくらいに澄み渡っていた。
快晴だ。
これ以上ないくらいに綺麗な青空。
ガラスの窓越しにじっと見つめて、
風景と風を味わう。
名前も知らない小さな野花。
かわいいな、なんて名前かな。
面白いものがいっぱい。
全部、私の大好きなもの。
タタン、錆びたスピーカーから流れる懐かしいメロディー。
たいして可愛くもない黒のスニーカーで走り出す。
風を切って上着の裾が舞っているけど、服装なんて気にしない。
雲みたいに心も軽くなくちゃね。
田んぼの道を突っ切って、どんどん走る。
私がどこに行くかなんて、私も分かんない。
この風景が私をそうさせているから。
都会のがさがさとした雰囲気は苦手だ。
誰もが自分に関係ない顔をして通り過ぎていく。
私もその中に飲み込まれてた。
まるで風景の一部みたいに、物語の脇役みたいに。
そんなのって寂しすぎるから。
あったかくて、皆が優しくしてくれる町が、
手の届く小さな範囲に愛せるものがあるならば。
私はそっちを選びたい。
だから走る、何かを求めて。
花が揺れる。
線路の横を走っていたらしい。
風が吹いて、ゆっくりと列車が通る。
「乗ってみようかな…」
大胆な発想も私の取り柄。
楽しいことは自分から向かってかないとね。
列車の中はしんとしていて、
東京とは全然違って、古くはなっているけれど。
綺麗な空色の座席に大きな窓。
手づくりだろうか、ふわりと靡いたカーテンは若草色で、
草原と青空が揃ったみたいな、素敵な車両。
奥の座席に人がいて、反射的に見つめてしまう。
黒縁のめがねをかけた、普通の青年。
眠っているようだったから、その隣にそっと腰を下ろした。
大きな窓から青空が見渡せる一番後ろの席は、
なんだか特別な感じがして、手が届きそうで。
気持ちいいなって、目を瞑った。
もうお昼だよ、起きて。
そんな声が聞こえた。
お母さんもおばあちゃんも、ここにはいない筈だけど。
眼鏡をしてて、髪が短くて。
誰だっけ、私この人のこと知らない___
目の前の青年はゆっくりと微笑んで、
少しおかしそうに、こんなことを言った。
今はね、俺たち二人だけが青空に閉じ込められてるんだよ。
私も面白くなって、ふふって笑いがこぼれる。
「俺は誠って名前、君の名前は？」
青空を背中に、またいたずらっぽく笑っていた。
▽好きの表現、回り道/jack→←スキップステップ、恋の音/rt
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らく。(プロフ) - きりたんぽさん» リクエストありがとうございます、少し見てみましたがめささん面白いですね〜！もう少しお勉強してからになりますが、ぜひ書かせていただきます。応援コメントものすごく嬉しいです、ありがとうございます！ (2016年9月12日 20時) (
レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
きりたんぽ - 書ける方々に書いてないんですけど、泣き虫な、悪魔めさ(めさ)さんを書いていただけないでしょうか。 無理なお願いをして申し訳ありません。 更新、頑張ってください！ (2016年9月9日 2時) (レス) id: aa815dad7c (このIDを非表示/違反報告)
3.14159265358979323・・・ - きっくん”ん”ん”ん”あ”あ”あ”あ” (2016年8月31日 21時) (レス) id: 138fe4e0ba (このIDを非表示/違反報告)
らく。(プロフ) - ライトユーザーさん» リクエストありがとうございます！楽しんで頂けるよう頑張りますね。コメントありがとうございました！ (2016年8月2日 18時) (レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
ライトユーザー - 積極的な蘭たんお願いできますか？ (2016年8月1日 21時) (レス) id: 04185b1930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らく。 | 作成日時：2015年7月26日 2時
