透明炭酸の中/a ページ5
「あろまぁー、」
「暑いから喋んな」
酷くないですか。ねえ。
可愛い可愛い彼女が話しかけてあげてるのにさあ。喋んなって何よ。
いや、ね?可愛いは言い過ぎかもしれないけど！百歩譲ってそれはいいとしよう。
暑いからこそ一緒にいたら紛らわせるとか思わないのかねあろまくんよ。
後ろからとりあえず呪いの視線を向けていると、
「サイダー」
「は」
「飲みたい」
「知らないよ」
と、返しつつ冷蔵庫にあったかも、とか思って立ち上がる。
コップに注ぐとぱちぱち、と弾ける泡に何とも言えない幸せを感じた。
飲みたい、欲求が抑えられなくて透明なその液体を喉に流す。
くるくる、と口の中で回る炭酸が心地良い。
もう一杯注いで彼に渡すと嬉しそうに微笑み、小さくお礼の言葉を呟いた。
目を閉じて幸せそうに飲む彼を見ていたら、サイダーの中って気持ち良いのだろうか。
そんな発想に至った。
くだらないな、と心の中で悪態を吐くと、飲み終わったようであろまはゆっくりと口を開いた。
「サイダーの中に入ったらさ、どんなだろうな。」
ついさっきまで私が考えていた事と同じだった。
でも、本当にサイダーに溺れたら戻れないのかな。
深くて透明な水中にいとも簡単にとぷん、と沈んでしまうのだろうか。
どうしようもない怖さに耐えられなくなって、涙が溢れそうになった。
此方に気付いたのか、心配そうに見つめられ、
私の心を見透かしたのか、そっと抱き締められた。
「どこにいても、ずっと側にいるから。そんな顔すんな」
彼の不器用な優しさが伝わってきて、涙がどんどん溢れ出て止まらなかった。
透かされた心と透明な涙、コップの中では、
二つの氷がカラン、と音を立てて動いた。
「ごめん、ごめんね…ありがとう。」
ああ、こんなに素敵な彼が目の前にいるじゃないか。
いつかは消えてしまうとしても、今が幸せならそれでいいや。
「サイダーもう一杯、注いでくるね
涙を拭って立ち上がると、あろまは優しく微笑んで頷いた。
最後にまた一粒涙が溢れて、コップに氷を三つ継ぎ足した。
「おーい！遊びに来たぜー！新しいゲームするぞ！」
「ちょっとは静かにしろよ…暑苦しい」
「えおえおちゃあん？冷静でイカしてるってかぁ？」
「お、来たか」
「いらっしゃい！」
新しいコップを取り出す。透明な氷はまたカラン、と音を立てた。
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らく。(プロフ) - きりたんぽさん» リクエストありがとうございます、少し見てみましたがめささん面白いですね〜！もう少しお勉強してからになりますが、ぜひ書かせていただきます。応援コメントものすごく嬉しいです、ありがとうございます！ (2016年9月12日 20時) (
レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
きりたんぽ - 書ける方々に書いてないんですけど、泣き虫な、悪魔めさ(めさ)さんを書いていただけないでしょうか。 無理なお願いをして申し訳ありません。 更新、頑張ってください！ (2016年9月9日 2時) (レス) id: aa815dad7c (このIDを非表示/違反報告)
3.14159265358979323・・・ - きっくん”ん”ん”ん”あ”あ”あ”あ” (2016年8月31日 21時) (レス) id: 138fe4e0ba (このIDを非表示/違反報告)
らく。(プロフ) - ライトユーザーさん» リクエストありがとうございます！楽しんで頂けるよう頑張りますね。コメントありがとうございました！ (2016年8月2日 18時) (レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
ライトユーザー - 積極的な蘭たんお願いできますか？ (2016年8月1日 21時) (レス) id: 04185b1930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らく。 | 作成日時：2015年7月26日 2時
