無名作家はまた辿る/spa/3 ページ38
微温湯を揺蕩うように、木漏れ日で昼寝をするように、
平々凡々な私はまたいつもの生活に戻っていった。
少しだけ変わった事と言えば、一人ではない、それだけだった。
別にもう一人は特別重要視する訳でもなく居る。
私に干渉してこないのは良い点か。
それ故に、この関係に名前をつけるのは難しいとも言える。
気楽なのだから気にする事もないか、
そんな風に考えてしまう私はまだ、あの記憶に縋っているのだろうか。
永久なんて言葉は信じないけど。
それからも私がパソコンに向かって小説を書き、
妖怪にはおはよう、おやすみを告げ、一日は始まって終わる。
ご飯を食べて時々掃除をして買い物に行って。
どんな時でも妖怪は側に寄り添うだけだった。
誰かに側にいて欲しかったのかもしれない。
食事を共にしたりはしない。
彼は私をじっと眺めているだけ、それが落ち着く。
悲しい人だな、私も彼も。何もかも。
何故か私の書いた文章を読んでくれる人が増えた。
妖怪は嬉しそうに微笑んでくれた。
「ねえ、妖怪。君に名は無いの？」
「名乗ったって、貴方が得する事は無いでしょう」
「呼びづらいじゃん」
正論をぶつけてしまえば、妖怪は少しだけ�を掻いた。
そして困った様な笑顔を浮かべて、貴方が付けてくださいなと続けた。
「うーん、色褪せた写真持っているからセピアにしよう」
適当にも程がある。
それでも妖怪改め、セピアは嬉しそうにありがとうございますと呟き、
いつもの綺麗な微笑みを咲かせた。
なんだかおかしいと思った。
いや、もう遅いんだけど。
私の小説は急に売れ出し、何かの賞まで頂いてしまった。
特に目立ちもしない静かな人生だったけど、
セピアのおかげで自信がついて、私はどんどん進んだ。
どんな時でも、彼は側に寄り添ってくれていた。
おやつの時間が好きで、お菓子を食べる時だけはセピアも一緒。
どうしてか気になって、時々聞いてはみるものの、
昔の私が好きだったのかもしれませんねと、適当にはぐらかされてしまうばかりだった。
もう一つ、と大福に手を伸ばす腕を見る。
甘いものの方が好きみたいだ。
呑気にお饅頭を頬張った昼下がり。
_____________________
ぐだぐだ続けてすみません、多分次でラストです
修正祭りしました…
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らく。(プロフ) - きりたんぽさん» リクエストありがとうございます、少し見てみましたがめささん面白いですね〜！もう少しお勉強してからになりますが、ぜひ書かせていただきます。応援コメントものすごく嬉しいです、ありがとうございます！ (2016年9月12日 20時) (
レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
きりたんぽ - 書ける方々に書いてないんですけど、泣き虫な、悪魔めさ(めさ)さんを書いていただけないでしょうか。 無理なお願いをして申し訳ありません。 更新、頑張ってください！ (2016年9月9日 2時) (レス) id: aa815dad7c (このIDを非表示/違反報告)
3.14159265358979323・・・ - きっくん”ん”ん”ん”あ”あ”あ”あ” (2016年8月31日 21時) (レス) id: 138fe4e0ba (このIDを非表示/違反報告)
らく。(プロフ) - ライトユーザーさん» リクエストありがとうございます！楽しんで頂けるよう頑張りますね。コメントありがとうございました！ (2016年8月2日 18時) (レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
ライトユーザー - 積極的な蘭たんお願いできますか？ (2016年8月1日 21時) (レス) id: 04185b1930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らく。 | 作成日時：2015年7月26日 2時
