北風にだって触れてみたい/hr ページ30
彼女は少しだけ周りに冷たかった。
それだからこそ惹かれたのかもしれない。
可愛い可愛いって、俺に言い寄ってくる奴は山ほどいた。
でもそんな女の人に興味はない。
___(人1)Aさん。
会社の同僚。
仕事も早く、さばさばとした性格で、
上司のセクハラなんかもさらりと躱す。
食事の誘いは受けないし、社内の女友達は橘さんという女性一人。
ましてや騒いでいるところなんて見たことは無いし、
そんな雰囲気は少しも感じられない。
世に言うクールな女性ってやつ。
先輩が言うには、つまらない人。
それだけらしい。
「ああいうのじゃあなくてさ、もっと普通の女が良いわけよ、俺は」
普通ってなんだよ。
あの姿が彼女にとって普通なんじゃないのか。
そう言い返すことは、やっぱり俺には出来なくて、
ただ笑って「そうですか」と返すだけ。
普通っていったいなんだろう。
思わずぼそりと呟いた疑問は、
開いた屋上の扉、その奥に響いた。
「(人1)さ、」
「普通っていったい、なんなんでしょうね」
彼女はフェンスに体を預けると、淡々とした口調で話しだした。
「自分の物差しで測った普通が、
他の人にとっても普通と言える訳ではない。
それでも自分の中で、『これは普通』だとか『これは異常だ』とか決めて、それを他の人が必ずしも認めるという訳じゃない。君が、平野くんが思う普通が君の普通、それだけ」
だと、思い、ます。
一応気遣って敬語なんだろうけど、
そこまで饒舌になられるとこっちが逃げたくなる。
(人1)さんはどこかの空を見つめ、続けた。
自分が普通じゃないって言われてるの、知ってるんです。
これが私だって何度言い聞かせても、
生まれる不安が止まらなくて、どうしたら。
私はどうしたらいいの。
きっと今俺ができるのは、何もしない役。
ただぽろぽろと言葉を紡ぐ人の、
何も言わず、黙って話を聞いている役。
きっとこれは、誰にともなく言っているだけ。
溜め込んだ気持ちを吐き出すだけ。
何も知らない、ただの同僚だから。
友人とか家族とか、それ以外じゃないとできない役目。
知らないけど知っている、
そんな人だからこそ言えることだったんだ、きっと。
冷たい風が一つ吹く。
「仕方がないので、俺がコーヒーを奢りましょう」
意地の悪い自分は放っておくことをしない。
これが俺の『普通』。
自分の思う普通、これならいいんでしょ？
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らく。(プロフ) - きりたんぽさん» リクエストありがとうございます、少し見てみましたがめささん面白いですね〜！もう少しお勉強してからになりますが、ぜひ書かせていただきます。応援コメントものすごく嬉しいです、ありがとうございます！ (2016年9月12日 20時) (
レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
きりたんぽ - 書ける方々に書いてないんですけど、泣き虫な、悪魔めさ(めさ)さんを書いていただけないでしょうか。 無理なお願いをして申し訳ありません。 更新、頑張ってください！ (2016年9月9日 2時) (レス) id: aa815dad7c (このIDを非表示/違反報告)
3.14159265358979323・・・ - きっくん”ん”ん”ん”あ”あ”あ”あ” (2016年8月31日 21時) (レス) id: 138fe4e0ba (このIDを非表示/違反報告)
らく。(プロフ) - ライトユーザーさん» リクエストありがとうございます！楽しんで頂けるよう頑張りますね。コメントありがとうございました！ (2016年8月2日 18時) (レス) id: 8ad97f7842 (このIDを非表示/違反報告)
ライトユーザー - 積極的な蘭たんお願いできますか？ (2016年8月1日 21時) (レス) id: 04185b1930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らく。 | 作成日時：2015年7月26日 2時
