【実.況.者】だいすき。【短.編】

頭に乗っけた蓄音機/hr ページ16

×月×日(×)
いつでも窓側の一番後ろ。

それが俺の特権で、毎回の如く先生にお願いしてはそこから動かない。
先生も容易いもんだ、さて青い鳥でも覗くかな。



×月×日(×)
いつだって廊下側の一番後ろ。

それが彼女の特等席で、俺以外に先生を動かせる人がいると思うとわくわくした。
その子はヘッドホン愛用者だ、俺はイヤホン派。



何処にでも置いてある様な至ってごく普通のノート。
120円程のシャープペンシルに消しゴム。
何処にでもいる様な普通___では無いかもしれないけど。

まあ、「一応」ごく普通の男子高校生だ。




この世の中なんて、都合よく穢れた車輪が廻っている。
数学の方程式が解けたって、歴史上の人物が何を伝えたかったか解ったって、

結局はその行動一つに何の意味も無いんだ。
上手くやってくには、どれだけの駒を自分の手で動かせるかどうか、だ。

王様は一人じゃあ何にも出来やしない。

ただ、「権力」さえあれば駒を動かし頂点へと向かえる。
そんなもんだ。



学校だってセンセイや理事長を動かせばほら、簡単な話だ。

何一つとして苦労はしないし、椅子に座っていればそれで済むだけ。
皆が皆、それすらも認める。




だから今日も教室の隅で、頭に蓄音機を乗っけて、音をぶら下げるんだ。




夕焼け、橙、赤…と窓の外を眺めていた。

またいつも通り、気付けばこんな時間だ。
さ、部活には明日出るとして今日は帰ろう、

そんな事を考えていた矢先の事。

「あ、っと、平山くんだっけ？部活、早く出てきなよ」


「平野です、あと部活は明日出るから、(人1)さん」


ヘッドホンがトレードマークの彼女にばったり会ってしまった。
俺の名前を間違えて慌てていた、同じ写真部の人。

そろそろ部活出ないと、あいつも怒るかもなぁ。


「藤山くんが怒ってたよー」

なんて笑顔で(人1)さんが言うもんだから、つい言い返してしまった。

「あいつの苗字、藤井だけどね。じゃ、明日」




×月×日(×)
いつもとそんなに変わらないけど、帰りに楽しい事があった。

Aさんと話した。明日からは部活に行こう。



勢いで書いてしまったけど、書きたいことは書いたし。

明日が楽しみだ。



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夢主さん山好きすぎか

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