正面突破.36 ページ37
＊
「なぁ、俺等一体何がどうなってこうなってんだよ」
「知らねぇよ」
現在、女子寮のお風呂場を覗いて
ーーいない。見張り中である。未遂だ。
こんな真夏の虫の多い季節に何故むさ苦しい男二人茂みの中で、女子寮から誰か出てこないか見とかなければならないのか。蚊に刺されそうだし。
何も面白くなんかない。
「あんくさんに誰か出てきたら電話かけてバイブで知らせるんだよな」
「うん、それであってる」
「誰も来なさそうだけどな」
玄関の明かりが点いていない扉をただひたすらに見張っておく作業も中々に骨の折れる作業というか、ストレスが溜まるというか。
「てか、ぱなまんはAと同じD班だっけか」
「そうだよ」
「Aの事、どう思う？」
「……何、好きなの？ その面で？」
「ちげぇよ！……って、おい。今なんつった？」
「ちげぇのか。じゃあ何どういう意味だよ」
「歌った感じ、どんな感じ？」
「Aは、歌ってない」
「は？ 歌ってねぇの？」
「うん、確認テストした時、唯一Aだけは歌わなかった。歌詞さんも何か知ってた上で歌わせなかった
ーーまるで、“歌えない”みたいに」
「歌えないって……一般人だから歌いたくねぇとか、そんなんか？」
「いや、考えろなるせ。
この合宿は歌い手、またはそれ関連で有名じゃないとそもそも参加権が無い。
って事は、いくら実力者枠の人と仲が良くても歌い手じゃない限りは参加は無理だ」
「……何が言いてぇんだよ」
周りくどい言い方をしている俺の話に痺れを切らしたなるせが不機嫌そうに口を挟んだ。
「じゃあ、もし。もしも、Aが
ーー“元”歌い手だったら？」
「！！！！」
全てがなるせの中で繋がったらしく、驚いたように目を見開く。
「しかも、有名な人であれば歌い手でも中々入れないあのシェアハウスにも入れるだろうし、この合宿にも来れる。
で。そこまでの影響力を持っていて、尚且つ群を抜いて有名な元歌い手なんて、俺等は一人しか知らない筈だ」
「まさか……！」
「その“まさか”なんじゃねぇのなるせ？
良く考えればあの人は両声類……“性別不詳”だった。ネットでは男声が自然過ぎて男の線が強いって言われてたけど、性別不詳なら別に女でも良いワケだ」
て、事はさぁ。
そう切り出してなるせの目を見る。
出た結論は唯１つ。
「A、“負け犬”なんじゃねぇの？」
ラッキー歌い手(敬称略)
天月
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ - sou君かわいそう、sou君かわいそう←作者様にむけての愛の告白((( これからも頑張ってください！応援しています！大好きです((( (2020年5月31日 13時) (
レス) id: c303749b45 (このIDを非表示/違反報告)
来賓 - 天月さんだったら 天「……」みたいな感じがいいと思います。 (2017年9月22日 17時) (レス) id: 00ddd4f313 (このIDを非表示/違反報告)
シャウトノイズ@叫音紫乃(プロフ) - むむむさん» 台本書きでない分、どの人が話しているか分かりやすい様に、と口調を変えたつもりでしたが、完璧に私の書き方が下手でした。分かりにくくて本当に申し訳ないです。 (2016年9月26日 8時) (レス) id: c4109b72a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャウトノイズ@叫音紫乃(プロフ) - ほしさん» 語弊がありました。歌い手ではない、という意味で一般人という言葉を使わせて頂きました。もし気分を害されて仕舞われたらごめんなさい。合わせて、返信が遅れてしまったこともお詫び申し上げます。すみませんでした。 (2016年9月26日 8時) (レス) id: c4109b72a0 (このIDを非表示/違反報告)
むむむ - 誰が喋ってるのかわからない(´Д` ) (2016年9月22日 2時) (レス) id: 86b2e86700 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
