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10 YOUR "F" ページ28

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思い返せば、君が聞くと必ず泣く言葉があったね。

大学生の時も、今も。



僕にとっては、温かくて、尊敬してる存在。

だけど君にとっては、冷たくて理不尽で、恨みながらも不器用に愛してる、そんな存在。




君にとって禁句だった言葉。





それは、「お父さん」。



_____YOUR "F"



「お父さん…!!

目を開けて?ねえ!!

お父さんってば!!!!」


無機質な白の空間の中で、死に行く命にすがりつく声が響く。

患者であり、「お父さん」と呼ばれる中年の男性は、愛情表現が出来なくて。

それが発端で娘と絶縁状態だったらしい。



でも、そんな時、余命3ヶ月を宣告された。



宣告した医師は、同期のA。

それから、彼をまた娘と巡り会わせたのも彼女だった。



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大学の頃から、彼女は本当に人気があった。

同輩にも、先輩にも、後輩にも。みんなに。

愛嬌のある顔だちではあったし、太ってはいなかったけど、特別美人なわけでもスタイルが良かった訳でも無い。

ただ、他の誰にもない魅力を持っていた。



いつも明るくて、周りを気遣えて、優しくて。

頭も良いし、お嬢様校出身で、気品のある雰囲気。



それでいて、自分が間違っていると思うことには、相手が誰であろうと手厳しく批判する強さまで兼ね備えた。

完璧なようで、ちょっと抜けている、守りたくなるようなお茶目さも。



でも、彼女は決して誰にも"弱さ"を見せなかった。

周囲には、"愛情"だけを見せてた。



だからか、周りの同期は「Aちゃんは愛されて育ったんだね」なんて言ってた。

「愛をもらうことを知ってる人だから、愛をあげられるんだろう」って。



でもね、それを聞くたびに、君はちょっと顔を歪めるんだよ。

それから、無理するように、笑うんだ。




「ありがとう」って。


肯定でも、否定でもなく、ありがとうって。




僕はいつも疑問を持ってた。

ずっとAを見つめてたから。

時折、人の見ていないところで、ふっとした時に浮かぶ寂しさの表情に。



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ring(プロフ) - まゆさん» 初めまして!コメントありがとうございます。気付くのが遅くてすみません。完成次第アップさせて頂きますので、読んでくださったら嬉しいです(^^) (2017年6月20日 20時) (レス) id: 73f0eafd9e (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 初めまして。ミンギュのが面白かったです。ミンギュの話の続きが知りたくなりました。機会があったら、続き書いてもらいたいです。 (2017年6月17日 21時) (レス) id: 13cb3fd920 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あよん | 作成日時:2017年6月12日 15時

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