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『気象庁によりますと、明後日には台風が日本列島に上陸するようで…
雷と豪雨に注意を…』
雷と豪雨…
雨が降って、雷が鳴り響く中、私の母は交通事故で死んだ。
その時からずっと、私の中でトラウマになっている。
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窓の外を見れば、今日も雨が降っている。
そこまで激しくはないから、大丈夫だけど。
「Aちゃん!
今日頑張ってね!」
今日は大事な商談の日。
独り立ちしてから、初めての商談。
絶対成功させたい。
今まで電話でやりとりしてきた会社に出向いて、初めて担当者と顔をあわせる。
いつもより少しメイクも気合を入れて、お気に入りの香水を軽くつけて。
「じゃ、チャニョルくん行くよ?」
イケメンの後輩、チャニョルくん。
この子が私の直属の後輩。
今回も一緒に担当している。
「先輩、緊張してます?」
チャニョルくんの運転する車の中。
「そりゃね、、、してるよ〜」
「先輩〜大丈夫ですよ!
商談も、雨も。
なんてったって、俺がいますから!!」
言い返せない…
だって、一理あるから。
担当が女性なら一理あるぞ…
そんなチャニョルくんのナルシスト発言を経て、やっと目的地に着いた。
「◯◯商事の者です。
担当者の方は…」
受付のお姉さんに案内されて、会議室に通された。
大きな窓からは、今日の暗雲が見えてる。
積乱雲がいっぱいある…
「コンコンッ」
はっ。
ドアがノックされた音を聞いて、一気に緊張感が増した。
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作者名:あよん | 作成日時:2016年2月20日 17時