1 君が泣いてる KS ページ31
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ねえ、雨が降ってるよ?
ねえ。
雨が降ってるんだってば。
気づかないの?
雷まで鳴ってるのに。
なんで?
約束したじゃない。
「雨が降っても、僕が君の側にいるから。
大丈夫。」
あなたはそう言ったじゃない。
なのに、なんで今、あなたは私の隣にいないの?
_____君が泣いてる KS
溢れ出そうな涙をこらえ、ぐっと歯をくいしばる。
分かってる、別れを告げたのは私だった。
ギョンスは何も悪くない。
ギョンスのことを、信じきれなかった私が悪い。
自分で自分の首を絞めた、とはまさにこのことだし、自業自得っていう言葉も私のためにあると思う。
でも、私、後悔してるんだ。
ギョンスと別れたこと。
あまりにも利己的な考えかもしれないけど、
自分で別れを告げておいて何様だって自分でも思うけど、
でも、今でも好きみたい。
「ギョンス、もう別れよう。」
「…分かった。」
ただ、不安なだけだった。
ギョンスは本当に私のこと好きなのかな、って。
それで彼を試すようなことをした。
でもね、ギョンス、あっさり一言で理解しちゃうんだもの。
私のこと、分かってるでしょ?
一度言っちゃったことを、嘘だから!忘れて!なんて言えないことぐらい。
縋り付くなんて、できない性格だってことぐらい。
ねえ、分かってたでしょ?
何度後悔したか分からない。
新しい街に来ても、思い出すのは彼のことだけ。
そんな、バカな私。
「…あ、分かった。
雨降ってきたもんね、また今度。」
一応彼氏もいる。
雨が降ったから、面倒くさくなったって、デートをキャンセルする。
そんな、彼氏。
好きでもないのに付き合ってる、大バカな私。
『先輩、雨降ってきたけど、大丈夫ですからね!』
私のトラウマを知ってて、雨が降るとカカオトークをしてくれる後輩、チャニョルくん。
周囲に頼ってばかりの、ろくでもない私。
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作者名:あよん | 作成日時:2016年2月20日 17時