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【Aが吹っ切れた記念日】
という、なんとも言えないタイトルのもと、開かれた女子会。
ちょっとしたバーで、二人呑み明かす。
お酒を頼むスピードもすごく早い。
「あ、ミンジョン!終電!!!」
「ふぇ?…」
気づけば、デロデロになっちゃってるミンジョン。
私はお酒に強いから、同じ量飲んでも酔わないけど、ミンジョンはちょっと弱いから。
「おも…」
ミンジョンに手を貸して、呼んでおいたタクシーに乗せる。
「運転手さん、〇〇までお願いします」
ミンジョンの家は、前の私の家と同じマンション。
…アイツとの思い出がつまってる、あのマンション。
ほんとは行きたくないけど、こんなに酔っ払ってるミンジョンを、一人、タクシーには乗せられない。
このご時世、何があってもおかしくない、物騒な世の中だし。
「ありがとうございましたー」
先にタクシーから降りて、もう眠りの国へ行こうとしてるミンジョンをタクシーから引きずり出す。
「ミンジョナ〜鍵出すよ〜」
やっとこさエントランスを抜けて、エレベーターの前まで来た。
死に物狂いで鍵を見つけ出し、無事ミンジョンをベッドに寝かせた。
「おやすみなさい」
そう言って部屋を出ようとしたけど、もごもご口が動いてるミンジョン。
何を言ってるのだろうと耳をすませる。
「…幸せに…なるんだよ…A…」
「ふふ…ありがと。
ミンジョナ、いつもそばに居てくれて」
酔っ払ってて、意識も失ってるはずなのに、そんな言葉をかけてくれるミンジョン。
すぐに緩み始める涙腺を落ち着かせることができない。
こんな風に言ってくれる人がいて、私はすごく幸せだな。
この関係が、いつまでも続いたら…いいな…
その場にいたら、しゃくりあげてしまいそうで。
そしたらミンジョンを起こしてしまうから、そっと家を出る。
鍵を閉めて、下の階のポストへと向かう。
前に住んでた家だから、場所はよく分かってる。
「えーと、ミンジョンは…
204号室だから…」
ミンジョンの部屋番号を見つけて、鍵を郵便受けに入れる。
よし、これで帰れる。
帰り道は、ちょっと暗い道だったことを思い出して気が滅入った。
大通りまで出たら、またタクシーを拾えばいい。
イヤホンをつけて、音楽を再生させる。
昔作った、お気に入りの曲のプレイリスト。
懐かしいな、なんて。
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作者名:あよん | 作成日時:2016年2月20日 17時