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「先輩？
ねえ、先輩どうしたの？」
私の顔を覗き込むベッキョン君。
ベンチに座る私たちを見たら、普通の人は恋人達だと信じて疑わないだろう。
ベッキョン君、やりすぎだよ。
さっきのは。
でも確かに、けしかけたのはベッキョン君だけど、最終的には私が協力してって頼んだんだ。
だから彼を責められない。
悪いのは私であって、彼ではない。
そう思ったら、ますます涙が溢れてきた。
「先輩…」
ベッキョン君の、私を心配するかのような声。
暖かい、思いやりのある、愛情のこもった彼の声。
それが聞こえた瞬間に、私の視界は彼が着ているベージュのトレンチコートでいっぱいになった。
柑橘系のフレッシュな、彼らしい香水の香りで、私がベッキョン君に抱きしめられていることに気付く。
「ベッキョン…君…？」
「あーもう。
先輩ほんと鈍感すぎだよ。
あのダンゴムシなんてやめて、俺にしなよ？」
冬の寒さのせいじゃなく、思考回路が停止する。
でも、ベッキョン君が、いつになく真剣な声で話してる以上、冗談じゃないなんて分かってる。
それでも信じられないんだ。
「え…笑えない冗談なんてやめてよ」
「冗談て…」
抱きしめられたままじゃ、表情も分からなくて。
嘘だ…ベッキョン君が私のことを…？
そのときだった。
最高に不機嫌なギョンスの声がしたのは。
「何してんのこんなところで。」
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作者名：あよん | 作成日時：2016年2月20日 17時
