1 関数はお好きですか？SH ページ18
.
私の初恋は高校一年のときだった。
相手は生徒会長をしてた先輩。
身長は低いものの顔は整ってて、勉強も出来て。
数学がものすごく良くできる人だった。
それでいて人望も厚く、おぼっちゃま。
そんな完璧な人。
でも、そのとき先輩には付き合ってる彼女がいるって噂で。
噂の彼女は、ほんわかした雰囲気で先輩にお似合いの人だった。
結局、臆病な私は告白なんて出来なくて。
でも親友のユンジのおかげで一度だけ話したっけな。
そのとき、関数の問題をなぜか渡されたんだ。
今となってはいい思い出。
「ねえ、これ解いてみてね？」
みれば複雑な関数で。
数学が苦手な私はいくらやっても解けなくて、先輩に白紙のまま渡してバカだなって思われても嫌で。
そんな風にしてたら先輩は卒業しちゃって。
臆病な私は何もできなかった。
そんな、いい思い出。
_____関数はお好きですか？
あの人はズルいと思う。
私の初恋を奪った上に、その後、恋なんか出来なくしてしまった。
もちろんあの先輩とは、関数以外特に思い出があるということも無いんだけど。
でも、彼を超える人がいないんだ。
そんなこんなで、彼氏いない歴＝年齢。
23にもなって、まだそんなこと言ってる。
寂しいシングル生活だ。
.
.
.
一流大学を卒業して、一流企業に就職した私。
今日はその、初出勤日。
もちろん緊張しながら、それでいて夢が叶うという期待感の両方で、心臓はすごく速く動いてる。
社員証は持ったし、これで通れるはず。
エントランスで社員証をタッチしてセキュリティを通らなきゃいけない。
人のいない端っこの機械に向かい、カードをタッチする。
「ピーーーーーーー」
響くエラー音に焦りを覚えながら何度もタッチするけど相変わらずダメで。
周りからの視線も痛い。
困り果てたときに後ろから声がかかった。
「そこ、壊れてるから他使った方がいいですよ？」
聞いた瞬間、空気が止まったかと思うほどの衝撃。
だってそれは、私の初恋の人の声とそっくりだったから。
振り向いて声の主を探せば、私の真後ろでかがんでいて。
私の視界には、去っていく彼の、ヒラッと翻る社員証が。
それでも私の目は見逃さなかったんだ、その名前を。
�爛�ム・ジュンミョン”
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あよん | 作成日時：2016年2月20日 17時
