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「うっ」
ステージを降りれば、はっきりと感じる腰の痛み。
この後まだ三曲くらいあるし、アンコールだってある。
それに今日は、この後雑誌のインタビューがあるんだ。
普段なら、ライブ後に雑誌のインタビューなんて、正直受けたく無い。
でも、日本の雑誌だって聞いたから。
ねえA、「日本」っていう二文字は僕にとって、あまりにも特別すぎるよ？
腰痛だって我慢できるくらい、特別なんだ。
立ち位置へ移動する途中、なぜかAの声を聞いたような気がした。
慌てて周りを見たけど、それらしき人はいなくて。
そりゃそうだよね、Aがいるわけないよね。
変なの。きっとこれも、腰痛のせいだよね。
「We are ONE!
EXOでした〜」
どれだけ腰が痛くても、ステージには一番最後までいて。
これは僕にとって、どうしても譲れない礼儀だから。
…きっとAが聞いたらこう言うんだろうね、
「イーシンらしいのは分かるけど！
もう！早く湿布貼って！」
なんて。
なぜだろう、今日はAがこんなにも顔を出す。
いつだって心にAの姿はあるんだけど、でも普段ならちゃんとしまっておいてるから。
今日の僕は、そうとう弱っているらしい。
「レイさん、雑誌のインタビューはこっちです！」
誘導のスタッフと一緒に、着替えもままならないまま走る。
“カランカラーン”
何かが落ちた音はするのに、落ちた物が見当たらなくて、焦ったまま床の上を探そうとする。
その時。
「あなた、これ、落した」
…分かる。
この声が誰だか。
君だからわかるよ。
あの時よりもずっと綺麗な発音で。
でも、あの時と同じ不自然な中国語を言って、ユニコーンの彫られたリングを手に取るAがいた。
_____君だから END
『こんばんは。
チャンイーシンさん。
今日はインタビューのために来ま…』
『違うでしょ？
僕に会いたくて、来たんでしょ？』
やっぱり、僕が心から笑えるのは、僕の隣にいるのが君だから。
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作者名：あよん | 作成日時：2016年2月20日 17時
