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「…いいですか、先輩？
腕組んで歩いて行くんですよ！
…恋人みたいに、ね？」
私とベッキョン君がいるのは、ギョンスの会社の前。
時刻は、彼の退勤時刻である夜7時。
彼を待ち伏せするために、二人して電柱の陰に隠れている。
要するに私たちは、腕組んで歩いて行く姿を見せて嫉妬させる作戦、の真っ最中なのである。
「あ……」
向かいからギョンスがやってきたのを見つけて、思わず声が漏れる。
「え、先輩の彼氏ってダンゴムシ？
あの真っ黒くろすけ？
え、、、？」
「ベッキョン君！
人の彼氏にそんなこと！！！」
確かにギョンスは黒が好きだ。
黒い服ばかり着ている。
でも、ここまでオールブラックファッションを着こなせるのはギョンス、彼ぐらいだろう。
…ちょっと贔屓目かもしれないけど。
「ほら、先輩！！
行きますよ？」
「え…
う…うん」
いざとなると踏ん切りがつかない私の腕をぐいぐい引っ張ると、ベッキョン君は電柱の陰から出てしまって。
無理やり私の腕を彼の腕に絡ませる。
そして。
「ほら、早く行こうってば！
夜まで飲むんでしょ？
別に彼氏いないならいいじゃん
行こうよ〜」
そして、ギョンスが真横に来た時。
「ね、行こう？
…A？
僕はずっと好きだったのに、なんで気付いてくれないの？」
待てよ仔犬、待て！！
そんなセリフ、当初のプランに無いではないか、、、
はっ！としてギョンスの方を見れば、バチッと目が合う。
「ギョンス…」
思わず名前を呼んでしまったけど。
でも彼は、
「…」
何も言わずに行ってしまった。
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作者名：あよん | 作成日時：2016年2月20日 17時
