Bitterness11 ページ11
ノリノリな洋楽
帰り道はいつも一人で、音楽を聴きながら帰る
それが私のいつもなのに
｢…あ、｣
ちょっと前を歩く弟者先輩、しかも一人
話しかけちゃおうかな
そしたら一緒に帰れるもんね。
｢…っ｣
少し歩調を早めると簡単に追いついて、
｢弟者先輩｣
｢わっ、びっくりした…Aちゃんか｣
あまり横は見て歩いてないみたい
｢一緒に帰ってもいいですか？｣
｢いいよ｣
先輩はスマホをポッケにしまうと
私の方を見てくれる
そんな優しさが嬉しい
｢先輩は甘いもの好きですか？｣
｢うーん、まあまあかな｣
世界が違う
好きな人と並んで歩いてるだけで
世界はこんなにも輝いて見える
｢この前できたスイーツ屋さん知ってます？｣
｢ああ、あれでしょ？｣
きっと他の子のSNSも見るから知ってるんだろうな
｢今度友達と行くんですよ｣
｢そうなんだね。楽しんで来てね｣
別に定型句でもいい
先輩からの言葉が欲しいから
｢弟者先輩、今度ご飯誘ってくださいよ〜｣
安易にこういう言葉ってその場の雰囲気で出てしまうのか
｢暇な時ね｣
別に誘われなくても、ただ誰かに甘えて言ってみたかった
あわよくば誘われたら良いだけ
｢先輩はよくお友達とご飯行くんですか？｣
期待はしない
｢結構行くよ｣
｢楽しそうですね｣
一緒に居られるだけで満足だから
｢そう？｣
｢お友達多そうで羨ましいです｣
会話を交わせるだけで嬉しいから
｢そうとは限らないんじゃない？｣
｢友達が少ないから羨ましいです｣
挨拶を返してくれるだけで頑張れるから
｢じゃあ大切にしないとね｣
｢先輩、今度会ったら相談してもいいですか？｣
たとえちょっと無愛想でも構わない
｢いいよ｣
私はこの時間がとっても大事だから
｢じゃあ、また明日ね｣
先輩がまた明日ねと言ってくれる、
その明日に私がいる
｢また明日。さようなら｣
バイバイでもなく、また明日と言ってくれる
期待しちゃうよ…弟者先輩
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作者名：姫乃 | 作成日時：2019年1月18日 1時
