DROWN (ページ44)

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午前零時の湾岸都市ページ44

あれから何事も無かったかのように組織は動いていた

｢拷問部隊幹部、報告を｣

然し流石にAと同じ顔だと可哀想だったこともあって、双子という扱いになった

本人は白を纏い、ドールは黒を纏う

｢尋問により、敵方の狙いは捕虜の奪還だったそうです。彼らの求めていた先日の捕虜は全員始末させて頂きました｣

正に影の様な存在

｢捕虜の奪還は不可能な事も分かった筈だから、近日中に再度襲撃とは考えられないですね｣

ここでは便宜上、家に居るのをA、新しい拷問部隊幹部を黒、寵姫を白と呼ばせて頂こう

｢諜報がそう言うのだから信頼しておこう。しかし油断はできない。引き続き特攻部隊には厳重に本部の警備をして頂く。適宜拷問部隊と提携してくれ。今抱えている捕虜の数も少ないだろう｣

｢俺にお任せ下さい｣

｢仰せのままに｣

黒は冷たい印象を受ける

Aは一緒に任務を与えられる際、一度此方を向いて微笑んでくれたのに

｢暗殺部隊、引き続き潜入調査を｣

実際その印象通りだが寧ろ冷酷の方が相応しい

｢畏まりました｣

｢これで以上だ。引き続き宜しく頼む｣

会議が終わっても一番初めに戻るのは黒で、必要以外会話を交わさない

一方白との関わりは増えて来ている

恐らく彼女とは徐々そういった関係になるのであろう

白は女としての可愛げがあるが幾分弱く見える

Aが事実上の死を迎えた所で組織に何も変わりはなかった

だからこそあんなに使役され、消費された

そんな組織の在り方に虚しさを覚えた

｢弟者もしばらくは忙しくなりそうだな｣

｢ああ。でも拷問部隊幹部のAが居てくれるから心強いよ｣

今の組織には忠誠さえも誓えない気がしてくる

Aが居てくれた時は心中しても構わないと思っていたのに

因みに

｢ねぇA？何処行くの？｣

｢昨日もおついちさん仕事以外での関わりは持たないと言いましたが｣

｢Aは冷たいなぁ｣

昔のAの様だと楽しむ者もいた