此岸3 ページ5
｢何故あんなにも早く漏洩させたのか気になるけど、幹部様の腕前と言う所か｣
｢確かにそうね。今回の件に私は無関係よ…でも、態と流した可能性も｣
｢でも皆彼の態、意図的だと到底思えない｣
皆捕虜になったからと言って喜んで屍に成るのだろうか否、無い
｢死人に口無しよ。屹度残されたのは死しか無かった｣
｢俺らの組織が相手傚絶望的だろ。生きて帰れる訳が無い｣
確かに生きて帰さないが
｢…生を授かってから此の環境に居るもの。組織が如何に見られているかなんて分からないわ｣
兄者さんの手が私の頬に添えられると突い恥ずかしくて目を逸らしてしまう
｢A、お前は利口な女だ。何時かは屹度分かる｣
｢そう云われても、仕方無｣
此の人の少し強引な所が狡い
何でもそうやってキスして、無知な私を捻じ込めて
｢…急になんて狡い｣
｢威勢が良いのは好ましいが女は少し弱い方が得する。Aのそういう隙の有る所とか…案外可愛い｣
｢事故に繋がるわ、運転中は余計な事しないで｣
こんな正論は只の照れ隠し
｢Aが解る迄俺は退かない｣
｢仕事を抱いている様な女なのよ？それに私達は決められてるから、別に行為に愛なんて｣
私達の生きる世界は丁度愛の点対称な位置だから
愛なんて知らない
｢Aは俺や弟、おついちが好きだろ？それと同じ、俺はAが愛しい｣
｢愛なんて私が抱いては駄目なの｣
大人が私に注いだのは只の利己心
｢誰が言った｣
｢奪う側としてのせめてもの懺悔｣
｢それなら俺もAを愛する何て許されない｣
…愛なんて要らないのに
｢それは厭よ｣
｢Aが愛する事を許されない傚、俺も許されない｣
兄者さんからの愛が無いなんて
｢…厭｣
そんなの耐えられない
｢俺がAを愛してればAは満足かも知れないが、俺の事は｣
｢…｣
｢愛が無くていいなんて嘘だろ｣
見え透かれた私の心の欠陥
｢…強制的にだから仕方無く好きで居てくれてるのだと思ったのよ｣
｢あんな熱烈なアプロオチで仕方無く好きかも知れないってどんだけ自信ないんだよA｣
私の悪い所
｢この世界は手腕が命じゃない！それに…｣
｢Aは手腕も容姿も良い。最高じゃねぇか｣
｢そんな事を言ってくれるのは兄者さんだけよ｣
諜報部隊には似合わないその手についた銃の癖は守ってくれた時の
｢…Aが居るなら繁栄も何も要らない。今の内緒な｣
｢私も…｣
その先の言葉は要らない
黙って手を握った
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作者名：姫乃 | 作成日時：2019年5月19日 23時
