DROWN (ページ35)

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樹海2 ページ35

｢A、今度彼等にも久し振りに会おう｣

｢ありがとうございます。楽しみに待っています｣

早く会いたいの

あれ以来ずっと眠ってしまっていたから

覚えてくれているかな

｢今度外に出たいです。良いですか？｣

｢嗚呼。でも来るべき時が過ぎたらな｣

来るべき時…

それが何か分からないけど、全部あるから何不自由無いこの部屋でその時を待とう

お洒落な服、可愛い靴、綺麗なアクセサリーに美しい帽子…お姫様の様な生活環境で夢を見ているみたい

どうやら凄い高い所に私は居て、部屋には天蓋付きのベッド、クローゼット、ドレッサー、テーブルなどがあって、どれも全てロココ調だった

ただテレビやパソコン、スマホは無い

連絡は全て置き電話かお父様の部下の方が直接来るという手段のみ

｢…前世はどんな人だったのかな。こんな幸せなんて｣

うっとりとした気分でソファに座ったり

｢こんな素敵な本があったのね｣

美しい小説を読んだり

｢お嬢様、お菓子は如何ですか？｣

執事がケーキや紅茶を運んでくれる

｢頂きます｣

寝たい時に眠り起きたい時に起きる

眠りたくない時は眠らず

起きたくない時は起きる

悠々自適な生活が私の人生の時間を限りなくゆっくりにさせるけれどそれでいいの

｢今日は上手に描けた気がする｣

絵を描いたり

本を書いてみたり

楽器に触れてみたり

どれも素晴らしくて私の人との関わりが断絶された心を満たしてくれた

｢…私もいつかは働くのかしら｣

幹部という肩書きはついている以上は働かなければいけないはず

｢この手を汚したりするのかしら｣

穢れの無い手を陽の光に翳した

出来るならこのままずっと居たい

怖いものも悲しいことも知らずに生きてそのまま永遠に眠りたい

美しい映画を見て心を動かされたり、綺麗な音楽を聴いて心が浄化されたり、それだけでいい

美しさの中に浸っていたい

汚い事なんて知りたくもない

私はずっと少女でいたい