片岸2 ページ28
｢Aありがとう。貴嬢から貰った情報は何時でも完璧で助かるよ｣
｢おついちさんにそう言って貰えて嬉しいわ｣
先日の御仕事で得た情報を手渡し、更なる組織壊滅へと導く
それらは相手の組織の建物の図から構成員の人数、頭の情報まで様々であった
数十頁に渡っている文字の羅列の下に在る屍を想像すると、確かに私に死神は相応しいのかも知れない
｢僕もAも暫くは忙しくなりそうだね｣
｢作戦参謀と言わんばかりの働ぶりよ｣
人遣いが荒いけれど、其れさえも厭わないと思える程に私はこの組織を愛している
｢恐らくAは組織創設以来の優秀幹部じゃァないか｣
｢そうだと良いのだけれど｣
｢次期首領だよ｣
今迄人の血や中身を沢山見て来たけれど、本当に自分の中に詰まっているのかは開いて見ないと分からない
存在不安に陥る
此の世界は誰かの創作で、誰かの夢で、何かの作品で有るのではないかと、パラノイアになってしまいそう
私の不安を断ち切る様に扉が開いて光が差し込んだ
｢A、おついちさんお待たせ｣
｢特攻幹部殿は常に危険と隣り合わせだから大変ね｣
廊下を走って来たのではと言わんばかりに息を切らせて椅子に座る弟者くん
｢全く、兄者はいい御身分だよな｣
私達は比較的血や死に接する機会の多い立場で有る
｢本当だよな｣
｢ええ、そうね｣
こうやって三人で談笑出来るのも奇跡に近いかも知れない
｢
｢私達の華麗なる活躍も忘れずにね｣
ペンの音、キーストローク各々好みのマテリアルでシナリオを紙上に築き上げる
｢足りない情報が有れば残りの捕虜に聞いてくるわ。気にしなくて大丈夫よ｣
｢ありがとうA｣
こんな時間さえも楽しいと感じさせてくれる
私は彼等も愛していた
彼此数時間話合い大凡纏まった頃には街は眠りに就いていた
｢今日は何も無かったなんて珍しいわね｣
｢大抵一件くらいは騒ぎが有って誰かしら下から呼び出しが来る筈だけどね｣
｢半壊滅に追いやった事も有って緊張が走ってるらしいよ、あくまで俺の部下が情報屋から貰った話だけど｣
３人並んでも広い廊下、周りの建物よりも遥かに高い本部のビルヂングは私達の繁栄を物語るのに相応しい
其れでも更なる繁栄への布石とする為に
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：姫乃 | 作成日時：2019年5月19日 23時
