DROWN (ページ21)

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着岸ページ21

｢本日はお忙しい中お越し頂き有難う御座います｣

夜景の綺麗な正に摩天楼の様なレストラン

｢僕こそ貴女の様な美しい方と御食事できるなんて、良く幹部様もお許しになられたと嬉しい限りで｣

人の良さそうなおじ様と言った所

其れでも相手も私と同様、私の命を虎視眈々と狙っているのかも知れないから油断出来ない

｢…お嬢さんは界隈でも有名で、うちの部下達は喜んでお宅の組織に行くんだ。困った奴らだが今、其の気持が良く分かる｣

各々好みのお酒を頼み、料理も頼んだ

｢君のお父さんが可愛がる理由もね。最近顔を出さなかったが何時でも評判だね、君は。他の幹部からも愛されていて、正に寵姫と言った所か｣

何処迄知っているんだ

私達幹部同士の関係性を知るなんてこの間の一寸した抗争を目撃するか、内通者でない限りは知らない筈

…おかしい

｢寵姫だなんてそんな…｣

｢…そうだね、寵姫なら態々自らの身を差し出す事をしなくて良いからね｣

其の男が私に差し伸べると、周りから一斉に銃を私に向けて構える音がした

…作戦と違うじゃない！！

逆の筈よ、此処には彼以外皆構成員の筈なのに

｢あら、袋の鼠と言った所かしら｣

｢大人しく此方へ来るんだ｣

其の手を取れば蜂の巣に成らずに済む。好機は此の男と2人きりに成った時に至近距離で仕留める

｢ええ、お茶でも｣

兄者さん如何したのかしら

｢…｣

｢…｣

沈黙が流れる

相手に護衛の者は付いていないが、お互いに銃を突き付け合っている状況宛ら

沈黙を破ったのは昇降舵の音だった

此処で仕留めて見せる

｢お先にどうぞ、お嬢さん｣

｢有難う御座います｣

彼は私に背を見せていると云う絶好の機会

｢…君の構成員が居ないと思ったかね｣

｢…そうね、話と違うと思ったわ｣

揺さぶりか？

｢彼等は何者？貴方は重役と聞いたけれど｣

私有の組織？

｢嗚呼、僕も君さえ居なければ組織が傾くと思ったからね。君だけ違う場所に呼んだ｣

徐々地上へ着いてしまう

｢貴方に貸しが出来てしまったわね｣

いきなり手巾を充てられたかと思えば身体に直ぐに眠気が襲い私は朦朧とする意識の中、倒れた

死ぬのね、私

絶望の淵で臥せているのは凄く心地が悪い

｢お嬢さん、お別れだ。君なら屹度あの時間で僕に仕掛けると思ったのだが失望したよ。上に送り返してあげるから、さァ永遠に眠りなさい｣

地上を知らせる音と共に｢撃て！｣の声