対岸3 ページ16
｢あら、そうなの。それなら謝るわね｣
スカートの端をつまんでお辞儀する
｢貴族気分のマフィアのボスかい、面白いね貴嬢は｣
｢ええ｣
笑えてくる。両手で顔を覆っては笑いが毀れるの
だって？
｢話が合うね。俺もコメディーやジョークが大好きさ｣
貴方死ぬのにね
｢私は…ファッキンキディングが大好きなの｣
手を顔の前から退けて、気味の悪いであろう笑顔を見せた途端
ベレッタの渇きは限界に達した
｢うふふ｣
｢A…。巫山戯た輩は俺が｣
｢お上手ね？おついちさん｣
眉間の間を撃ち抜くのが
｢Aの為なら俺は喜んで血を被るよ｣
｢危険因子だって言われちゃったなぁ、A？｣
悪い笑みを浮かべた兄者さんが私に笑いかける
｢貴方じゃないのかしら？｣
｢…即説、首領を失った組織はきっと喉元に喰らいつきに来るわ｣
煙草の先が燃える音
｢俺が先陣切って行くから、Aは援護を宜しく｣
｢流石特攻幹部殿ね｣
私達はもう普通の人には戻れない
｢A、来る｣
｢お片付けしましょう。それか、ウチに来るか…ね、交渉も素敵ね｣
｢でもA、あの首領と同じルートを辿るんだぞ｣
慌てた様子で私の為に声を荒らげてくれるの
｢…そういう所本当に好きよ。でも大丈夫よ｣
死しか見えない場合はどうにかしてでも生に喰らいつくのだから
最前線まで歩いている間、構成員に拝まれる様に又は舐められる様に見られた
｢A様…｣
｢お美しい｣
そう、私は強いから
｢どうするかしら？死んだ首領の組織を捨ててウチに来ない？賃金は良いし、環境も良いわよ｣
｢敵を勧誘するなど馬鹿馬鹿しい。何かの罠だ｣
張り合う様にして私の目の前に来た大柄の男
｢あら、そう思うならそれでいいわ。命が惜しくないのなら…ね？｣
目の前でベレッタを捨ててあげる
｢撃てねぇじゃねぇかよ｣
｢大丈夫よ。だって、貴方達はもう鳥籠の中の鳥なのだから｣
｢…は？｣
360°敵、敵、敵
｢空も、海も陸も全部私達のものよ｣
｢そんな事言われても接近戦で勝てばいいだろ｣
｢だと思ったわ｣
ジャケットを脱ぎ捨てるとそこにはぐるぐる巻きのダイナマイト
勿論、私の体にね？
｢冗談もいい加減にしろ。お前を刺す｣
｢出来るものならどうぞ？できるものならね｣
｢そうさせても＿＿＿＿｣
ああ、可笑しくて笑っちゃう
｢ああああああああぁぁぁ｣
｢どう？痛い？痛みでのたうち回る気分はどう？｣
｢鬼畜だね、Aは。本当に可愛い｣
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作者名：姫乃 | 作成日時：2019年5月19日 23時
