＿あと57日 ページ17
束縛願望と嫉妬のいばらの森の先には一体何が待っているのだろう
｢Aは結婚しねえの？｣
｢恋愛結婚がしたいから諦めていますの｣
｢この家の13番目で、恋愛結婚志望なら出来なくはないとと思うけど、まあ認知度が高いから厳しいだろ｣
｢A可愛いね、少女みたい｣
御兄弟とA様の3人でブランチを楽しんでいらっしゃる最中に結婚の話が出た
｢弟者さんや兄者様は結婚なさらないの？｣
｢俺は騎士の仕事で忙しいから出来ないかなあ｣
｢しようと思えば出来るけど、可愛いと思える女が居な……A、可愛いから俺の所に来いよ｣
｢お嬢様は素敵な恋を夢見ていらっしゃるので｣
僕は威圧感のある笑顔でその兄君を手で制した。別にA様が幸せであれば僕も幸せと、前の僕なら思えたが今の僕には思えない。貴女様は僕が居なければ幸せになれない。
｢おついちさん、ありがとう。あと、さっきココアを零してしまって着替えたくて…｣
御兄弟は相変わらずお嬢様が可愛いと微笑まれている、そんなの僕だって知っている
｢A様、行きましょう｣
部屋に着くや否や僕はA様を後ろから抱き締めた
｢…おついちさん？｣
｢お嬢様、僕の様な男は嫌いですか｣
その綺麗なデコルテに手を滑らせると、お嬢様の肩は跳ねた
｢好きよ。だけど貴方と私は、執事とお嬢よ｣
｢…A様は愛らしく、優しく完璧だと思います。しかしもう少しご自分の可愛さに気付かれては？｣
そっとワンピースのボタンを丁寧に外していき、床にワンピースが落ちる音がするとそこには恥ずかしそうに背を向けるシュミーズ姿のA様
｢…あの兄弟と幾らご友人であっても仲が宜し過ぎでは有りませんか？それとも御友人よりも上の関係なのですか｣
僕はお嬢様のひ弱な肩に顎を載せ、その艶かしい首筋に息を吹きかけると、A様は躰を震わせた
｢あの二人とそういう関係では無いわ。元々わたしが教会にいた時から、可愛がってくれていたのよ｣
教会にいた時…A様は裕福な家庭の出の養女では無いんだ…少し会ってみたかったその時の貴女が今の貴女を作ったのだとしたら
｢お嬢様の優しさを独占したい僕は我儘で御座いますか？｣
抱き締める力を更に強くすると、壊れそうだった
｢おついちさんだから許します｣
抱き締めている僕の手に触れながらそう云うお嬢様はただの女に見えた
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作者名：姫乃 | 作成日時：2018年8月1日 3時
