＿あと69日 ページ13
僕はいつも通りA様が朝食をお召になっている所に同席していた
｢A様はいつもお独りで？｣
｢そうね、早起きも苦手で下で皆で食べる時間に間に合わないから独りで大きいテーブルで朝ご飯を食べるのは寂しいもの｣
｢そうですか｣
｢もう…恋人ごっこも終わりにしましょ？お互いの為に｣
その一言で目の前が真っ暗になった
｢お嬢様はお好きな方でも見つかったのですか？｣
｢ええ｣
…A様の未来に僕は居ない
それなら一層の事誰とも結ばれずに、僕のお嬢様として一生を終えれば良いのに！！
｢それなら如何しましょうか？｣
｢お出かけはいつも通り行くわよ？日課だし、わたしの役割でもあるわ。でも今日は弟者さんがいらっしゃるから、彼と行ってくるわね｣
｢お気を付けて、お楽しみなさって下さい｣
｢おついちさんにはお休みを上げるわ、ゆっくり休んでくださいね｣
A様は嬉しそうにあの若き騎士の元へ降りて行かれた。僕は嫉妬に焦がれ、A様の寝台の脇の花瓶に
その花には、魅力に目を奪われているという別の花言葉が有り示唆したかったから
僕は貴女様のもの
貴女様も僕のものになって欲しいのです
｢A様には婚約者が居られるのよ｣
後ろを見たらこの前のメイド
｢勿論｣
｢花言葉で想いを告げるとは可愛らしいのね。でも執事とお嬢様が恋仲になれば貴方は職を失うわ。これって理不尽よね？｣
案外彼女は可愛らしい顔をしていた
｢そうで御座いますね。でもA様の幸せが僕の幸せだよ｣
｢それは本心？｣
｢…僕にはA様が必要なんです！！僕はずっと除け者扱いされて…でもお嬢様だけは違った！そんなお嬢様を愛せない理由が無いだろう！！君には僕の孤独がわからない、A様がどんなに優しいかも｣
一息で言い切った
自分でも驚くくらい大きな声だった
｢…お嬢様の前の執事の話は知ってる？｣
そういえば、前の執事は…なんてあの貴族の兄が仄めかしたくらいだ
｢A様を想い過ぎて、ある夜にお嬢様を刺して、その後彼は身を投げたわ。もう誰もレオみたいになって欲しくないの…｣
…お嬢様を刺したレオ？
｢この前レオと話をした…同じ名前の執事が？｣
｢この家に同じ名前は居ないわ｣
この前僕が話したのは誰なんだ
｢でもレオの幽霊は居るわ｣
その一言で背筋が凍った
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作者名：姫乃 | 作成日時：2018年8月1日 3時
