【小説版】集えや集え！ヒーロー&敵！《Ⅱ》 (ページ44)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:1,732 hit

RESET?RESTART!【語部唄/死柄木皆生/松野一松/松野空松】ページ44

.

「ちゃんと効いたみたいでよかった」

Ms.松野はあの後、結局心配で跡を尾けたようだ。

私は少しばかり死柄木サンの妹君の様子を見てみようと思い立って雄英に侵入した所、彼女の姿を見つけたのだった。

『何がデスか?』

「ｱｸｼﾃﾞﾝﾂｯ!!」

何やら呟いていたので声を掛けてみる。

……変な声とナイフ(×3回くらい)が飛んできた。

『イキナリ危ないじゃないデスか。ワタクシが言うのもアレですけど』
「仕方ないじゃないか…癖なんだもん…」

避ける事には慣れっこ(どうしてとは言わない)なので別段問題もなく茶化す。

『それで、ナニがよかったんデスか～?♪』
「忘却薬だよ。一部の記憶を消す薬」

ほう……忘却薬!

いいデスねェ……いいデスねェ!!

それがあればどんな事も出来ると!素晴らしい!!

感情を余り表に出さないように目を細めてニヤける。

それでも何か不思議な顔をされたので勘づかれたかもしれない。

『ワタクシにもください』
「一松に使ったので最後だから無理」

……勘づかれマシタか。ツマリマセンねェ……

だってホラ、少し目が泳いでる。

「そう言えば、爆豪勝己ってどの子?」

そう声を掛けられて、私の出番デスね!と小さく笑った。

…… …… ……

「すみマセン。爆豪勝己という子はどこにいるデショウか?」
『え?』

目を疑った。

……昨日遭遇した、あの蛍光色の人だった。

「死柄木皆生さん」
『なんでっ……なんで僕の名前を』
「ふむ、偽名デスか」
『う』

分かり易いデスね、とその人は薄く笑った。

「さて、場所を変えマショウか」

ココじゃ私が拙いので、と僕の手を躊躇なく掴む。

「〔少しばかり、眠っていて下さい〕」

ボイスチェンジャー無しの声は、まるで覚えていない。

…… …… ……

「起きて下サイ、妹君」
『ぅ……う?』

目を覚ましたのはいつかの路地裏。

蛍光色の人の後ろからグサグサと視線が刺さる。

よりによって何でお前なんかに、と言うような。

『……爆豪君の事ですよね』

僕は仲間の情報を売る気はありません、と暗に仄めかす。

「えぇ……まぁ幸い?アナタが情報提供を拒否してもワタクシ共がアナタを殺|すことは許可されていマセンし?」

蛍光色の人はその単語すらも言わずして、僕に。

｢断ったら死柄木弔(兄さん)の方を殺|す｣

そう、言ったのだ。

仲間と家族。

ヒーローには辛い究極の二択。

そんな中で、僕は。

『……代わりに僕を連れて行く事は?』

一種の賭けに出た。