【小説版】集えや集え！ヒーロー&敵！《Ⅱ》 (ページ40)

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どちらの味方?【語部唄/松野一松/松野空松】ページ40

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「あんたが皆生の兄?」
「やっぱり彼奴は英雄(ヒーロー)を選んだか…」

死柄木サンの悪癖が出た。

酷い時は(主に私のせいではあるが)掻きすぎた首から血が出る時もある。

「弔さーん…!!!!」
「お前はいい加減泣き止め。話せないだろうが…!!」

Ms.松野は弟君をほっぽり出して死柄木サンに抱きついて行った。

……弟君がお怒りですよ?

というか、それにしても。

舌打ちした時の顔で判別するのもどうかとは思うが……

『流石姉弟デスね。その顔、双子みたいにソックリです★』
「そりゃあ六つ子ですからねぇ!?」

……どうやらヤケになっているようだ。

確かに混乱するのも無理はない。

いきなり敵(ヴィラン)のアジト(らしき所)に連れて来られたのだから。

「気に入った。お前、確か松野一松だったな。敵(ヴィラン)連合に入らないか?」

『大胆デスねェ死柄木サン』
「うるせ」

呟くと小声で怒鳴り返された(器用)。

姉と夢の間で揺れているMr.松野。

「お、俺は…」

彼が答えようとした時、その前に立ち塞がったのは───

「それは許さないぞ弔」

───Ms.松野だった。

どうせMr.松野は拒否するつもりだったのだろうが、その前にMs.松野の言葉が入ったようで心配そうにMs.松野を見ている。

Ms.松野はMs.松野で死柄木サンの首筋にピタリとナイフを宛てがい、直ぐにでも切れそうだった。

一触即発(シリアス)の空気感。

Ms.松野のナイフを取り上げ、一度大きく手を叩く。

『こういう空気は退屈で嫌いデス……して、Mr.松野。貴方の答を先にお聞きしまショウ!』

そう言って彼等の方を向いてみる。

「俺は……俺は、絶対にヒーローになる。だから、たとえ空松がいたとしても敵(ヴィラン)にはならない」

喝采を飛ばす。

『よく出来まシタ♪』
「お前が口を出すな語部唄!!」

"半端モノ"がその口で言える事か。

笑顔(かめん)が消える。

『"Hameln(ハーメルン)"とお呼びくださいと言った筈ですよMs.松野』

代わりにと言っては何だが普通の口調でゆっくりと注意した。

おまけにタップリ威圧を込めましたケドね!

舌打ちがひとつ。

「あ"～～～もう……」

ガリガリガリガリ、と首を掻く音で我に返った。

「お前はどっちの味方なんだよハーメルン」
『ふふふ……知りたいデスか?良いデショウ!』

両腕を天に伸ばすように広げる。

『ワタクシは全ての"信念"の味方なのデス!』

意味わかんねぇ、と死柄木サンは言った。