【小説版】集えや集え！ヒーロー&敵！《Ⅱ》 (ページ38)

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きまぐれ【死柄木皆生/語部唄/松野空松/松野一松】ページ38

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『っ!?』

痛みを感じた後、瞬く間に痺れが身体中に広がって行くのが分かった。

グラグラ揺れる体をどうにか抑えて立ち尽くす。

見れば一松がピクリとも動いていないのが分かった。

気絶させられてる……!

「はいハイ。空識ー落ち着いたらどうデスか?」

気付けば首筋に当てられていたナイフは、すぐに離れて行った。

一松のお姉さん……空松さんの後ろに、奇抜な格好の女性がいる事を漸く認識する。

特徴的な話し方をするその人を、空松さんは忌々しそうに睨んでいる。

「その人は、壊しちゃダメだそうデスよー?」
「チッ」

空松さんに気付かれないように小さくウィンクするその人。……僕を知ってるのか?

ヨタヨタと壁に寄って行き、背を預ける。

もう殆ど力なんて残ってない。

「お～怖いコワイ★」

気絶している一松を俵担ぎにしたその人は空松さんをからかうように笑っている。

「私が運ぶ」
「結構重いんでヨロシクです★」

ぽいっ、と放り投げられた一松。嘘だろこの人。

「痺れ薬の効果ならもうすぐ切れるよ」

舌まで痺れてきて何も話せない僕をチラと見て、空松さんはそんな言葉を投げた。

『(に、い、さ、ん)』

痺れて重くなってきた瞼の裏に、懐かしい赤が過ぎる。

「貴方のお兄さんは元気にしてますよ」

そんな声が聞こえた気がした。

───────

「どうりで痛いはずだよ」

Ms.松野は私が刺したナイフを触ってそう言った。

……というか彼女どうして動けてるんでしょうか。

『化物デスか? アナタは』

本当に呆れた。

『それには即効性の痺れ薬が仕込んであった筈ですわ』
「へぇー」

……思わず口調が戻ってしまいました……いけませんね、これは。

はぁ、と溜息を吐き、気を取り直して笑みを形作る。

『それにしても!』

声を上げて黒霧さんを見る。

視界の内にはこちらを無視する(Ms.松野は別らしい)死柄木サン。よし。

『黒霧サンは優しい方デスね?フフフ……』
「……何の事です?」

チラリと松野姉弟を見遣る。

もぞ、と動き出す紫に、内心でほくそ笑んだ。

『死柄木サンの妹君に"現状報告"してたじゃないデスかァ!デスよねMr.松野～?』
「っ!?ここは……って空松!!」

私達そっちのけで空識を叱り、あまつさえ泣き始めるMr.松野。

死柄木サンはピクリと反応を示してゆっくりとこちらを向いたのに。

「……おい」

お、死柄木サンはMr.松野に直接聞く気デスね?

反応は無いみたいデスけども(笑)

───────

文字数が無い(察して)