触って ページ3
いつもの車の中
昼間のプールのことがあってか、センにぃの事を見ることが出来ない。
「…どしたん?元気ないけど。」
『…ほんと、センにぃってずるいよね。』
実の親でも、感情が読み取れないなんて言う私のポーカーフェイスをセンにぃはいとも簡単に見破ってしまう。
そんな彼を好きにならない方が難しかったんだ。
『…ねぇ、センにぃ。私の足に触ってくれない?』
そう言って信号待ちをいいことにセンにぃの左手を掴む。
「は?何言ってんの?なんで?」
眉をひそめたセンにぃの顔に思わず肩をひそめる。
『いいから。触って!』
お願い。触って。センにぃが何ともないように平気な顔して私の醜い火傷跡を触ってくれたら、それだけで救われるの、安心するの。
「…学校で何か言われたん?」
さっきとは打って変わって優しい、心配するような表情と声。
『っ何にも言われてないよ。』
センにぃが真っ直ぐ私の目を見て、そんな事を聞いてくる。
「言われたんやね。Aちゃん素直やから。嘘つく時目が泳ぎまくってる。」
さっきまで私がセンにぃの手首を掴んでいたはずなのに、今はぎゅっと手を握られている。
私より一回り大きいセンにぃの手は今も昔も心地いい。
『勘違いだよ。何にもないから。』
我ながら可愛くない返しに、心の中でハァとため息が出る。
ほんとは私の小さな癖まで見てくれている事に、これ以上ないくらい嬉しいくせに。
「ちょっとごめんな。」
そう言ってセンにぃは私の右脚をグイッと持ち上げた。
『へ!?』
いきなりの事で、私はスカートを引っ張ってパンツを隠すことしかできない。
「…ほんまに、ごめん。」
センにぃは私の火傷跡を指でなぞって悲しそうな表情を見せた後、チュッと火傷跡にくちづけをした。
『なっ!?なにやってるの!?』
何が起こったのか理解できない私は、ただただ顔が熱くて、鼓動がうるさくて、口をパクパクさせながらセンにぃを見つめた。
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作者名:おび | 作成日時:2018年10月5日 23時