引越しを考えています【吉沢亮】

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いつか誰かに言われた。




小石のような子だと。




苗字がそうだからってだけじゃなく、小石のような女だと。





そこら辺に転がってても誰も気づかない。


蹴られて、角が削れてどんどん小さくなって。




私はその時言い返せなかった。


あー、確かにと思ってしまったから。








そして小さく生きて17年目、



「誰が相手にすっかよ！こんな石ころみてぇな女！」






ガツン、と蹴られた気がした。







そこからはもっと小さく生きた。



たまたま投稿した小説が出版社の目にとまり、何となく小説家になった。




顔を出さないで済むならとどんどん奥へ奥へと逃げた。



逃げて逃げて逃げて逃げて逃げ続けた私は




石ころよりちっぽけな女になった。









そんな私に、今大きな試練が降りかかっている。




「隣に越してきた吉沢です」









........なんてこった。

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