公子さんが本当にシスコン過ぎる

ヒルチャールがかたすぎるよっっ！！ ページ1

『むりむりむりっ！！こんなのやってらんないよ！』



そう声をあげながら走っている私、Aの後ろから追いかけて来ているのはヒルチャールの王。



全く、私が水元素の法器使いだと知っていながらこの依頼を出す冒険者協会もたちが悪い、と心の中で毒づく。なんせ相手は氷元素。シールドが一向に削れない。



しかし、毒づいたところで何か変わるわけでもない。




ブォン！！！



『ヒェッ』



ヒルチャールの拳が私の肩をかする。
傷を負った肩を庇いながら走るも、足取りはおぼつかない。



『もう体力ミリなんだけどっ！？誰か助けて…！！！風神！今こそ仕事をするときよ！！酒ばっか飲んでないで私を助けて！！』



そんな馬鹿なことを叫んでも、ここはドラゴンスパインの奥深く。こんなところに人がいるわけもない。



ないのだが…




「風刃っ！！」




私の目に1人の男の子が写った。
わお、そっちのふうじん。

やばい、馬鹿なこと考えてる間に視界がぼやけてきてる




「大丈夫ですか！？Aさん！」




『んっ！？んぇ…うん…』




誰だろう。私を知っているみたいだけど…。ぼやけた視界では誰なのかを確認することもできない。でも…この声、落ち着くなあ…。なんかなんも考えられないや…。



そしてそのまま




ドサッ




「うわ！！Aさん！？！？」




私の視界は暗くなった。

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