他人事だからって! ページ30
『……うーん……』
まだ外も明るい昼下がり、私は往生堂の中で唸っていた。
「まったく、今回はどーしたの?」
そう私に声をかけたのは胡桃だ。
なぜ「今回は」と胡桃が言ったのかというと、私は悩みがあった時、毎回と言って良いほど往生堂に来て胡桃に相談しているからだ。
何回も来ているから胡桃も慣れてしまった、と言う訳である。
『いや〜……私、胡桃に爆炎樹の話はしたじゃん?その時に走馬灯見たんだけど…1つ、私の知らない記憶があったんだよね』
「知らない記憶?」
『そう、知らない記憶。………ん〜、こういう感じだったんだけど……』
そう言って私は話し始める。あの時走馬灯で見た「知らない記憶」を。
________
あれは……うん、雨が降ってたかな。昼か夜かも分からないくらい曇ってて…。
そこにいたのは幼い私。…12歳くらい…?だったっけ。
それと……誰か分からない男の子。顔に霧がかかってて、よく見えなかったのよ。
こっちは私よりちょっと年上っぽかった。
いや、でも歳なんてなんでも良いの。
なんせその男の子は…返り血をたくさん浴びていたんだ。
そう、返り血。
あと、私はその時泣いていたんだ。
……え、なんでって。胡桃、なんでかは私にも分からないよ。
とにかく泣いてたの。
それでね、男の子は私の方を振り返ってこう言ったんだ。
_______俺は絶対に君の味方だから________
その言葉を聞いた私は何度も何度も頷いてて……口を開こうとしたところで……走馬灯、終わったんだ。
________
『ね、不思議でしょ?』
大まかに話し終えた私は胡桃に共感を求める。
「ふーん、なるほどね? でもどーせ実は幼少期にそういう経験してました〜ってやつでしょ」
『まー多分そうだけど…』
それでも全く覚えてないのって不思議じゃない?
でも胡桃はあんまりそうは思わないみたいで。
「まーまー、いつか分かるって〜」
『もう、他人事だからって!』
そうは言ったものの、現時点でできることなんて全くない。
まあ、胡桃の言うように、今は何もしなくていいのかな。
『じゃあとりあえず、美味しいもの食べに行きますか〜』
「はーい、いってらっしゃ〜い」
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宇琉夜ハル(プロフ) - 6ページ離月ではなく璃月ですよ (2023年3月24日 18時) (レス) @page6 id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
りんご祭り(プロフ) - けんとさん» うおおお!!ネタ切れだったので!!リクエストまじでありがとうございます!!!気合い入れて書きます!!続けてでもなんだろうが構いませんよ!コメントくれるだけで嬉しいです…! (2022年10月13日 23時) (レス) id: bc8f8e995e (このIDを非表示/違反報告)
けんと - 続けてリクエストすみません(泣スカラマシュと絡んで欲しいですワガママすいません (2022年10月13日 18時) (レス) @page37 id: a76f20d172 (このIDを非表示/違反報告)
りんご祭り(プロフ) - けんとさん» いえいえ!こちらこそリクエストありがとうございました〜 (2022年10月4日 22時) (レス) id: bc8f8e995e (このIDを非表示/違反報告)
けんと - ありがとうございます、尊かったです!萌死にするところでした (2022年10月4日 21時) (レス) @page26 id: a76f20d172 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご祭り | 作成日時:2022年9月24日 23時