情報共有 ページ49
「……なんつーか、ちょうどいい機会かもしんねェな」
黙って眺めていた鬼ヶ崎さんの突然の発言に、何の話だと皆が彼を見る。
「忍霧、嬢ちゃん、全部腹割って話すぜ」
そうして彼が話しだしたのは、ユズさんのことや地下のこと。初めて聞く人達は当然驚いていて、たぶんまだ実感が湧いていない。
「路々森が」
「内通者……」
「…ま、直接誘拐やパカのゲームに関わってる風ではねェようだがな。路々さんの仕事は実況中の記録役ってところでぇ。……罪悪感もあったようだし」
アカツキ君とのことはきっかけにすぎないんだろうな。
あのとき何と答えていても、いつかは罪悪感に耐えきれなくなって同じ結果になっていたと思う。
「ずいぶん庇うじゃねーか。……なんで黙ってたんだよ」
「女の秘密を吹聴するなんざ野暮ってもんだろ」
不満げに鬼ヶ崎さんを睨みつけるアンヤ君だが、当の本人は呑気にお茶を飲んでいる。
知っていながら抱え込むのが苦しいことはよく知っている。
……少しは鬼ヶ崎さんの肩の荷が降りたと思いたい。
「義理堅く口も硬くあれってのがうちのクソジジイの家訓でね」
「自分のじいちゃんクソジジイとか言うなや」
「アンヤ君は意外と良い子だよね」
「おい、意外とか失礼だろうが！！」
「ごめんごめん。なんか普段の行いが、ね？」
オレのこと何だと思ってんだよ！等とまだ文句を言っているようだが、まあ本気で怒ってはいないだろう。
そのままアンヤ君は放置し、人形供養以来少し仲良くなった二人をそっと見守る。
「忍霧さん…双子の妹さんがいたんですね」
「ああ…黙っていてすまない」
「いえ……私も弟が、兄弟がたくさんいます。はやく…見つかるといいですね」
「……ありがとう」
順調に行けさえすれば忍霧さんは妹に会うことができる。
だけどそう上手くはいかないし、ヒミコちゃんは辛い真実を知ることになる。
「それに地下にも人がいるなんて…ほっとしました。ゲームに脱落しても島のどこかでいる可能性があるんですよね…！」
「そうそう、だからまだ悲観は早いってこった」
「……とりあえずは皆でユズさんを見つけないとね」
先が明るいとは言えないが、またみんなを不安にさせるわけにはいかない。その時まではまだ信じていたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬桜(プロフ) - バギアスさん» 嬉しいです🐱ありがとうございます！近々少しですが更新する予定ですm(_ _)m (2022年6月1日 16時) (
レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
バギアス(プロフ) - 面白い ハマった (2022年6月1日 16時) (レス) @page35 id: 9d13356054 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 時夜さん» 感想ありがとうございます！更新する予定なのですが、少々忙しくて書くのが遅れてまして…すみませんがお待ちください！m(_ _)m (2021年10月17日 15時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
時夜(プロフ) - 面白かったです！更新ってされますかね？ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 61e78b8a54 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！頑張ります(^-^) (2021年9月1日 21時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬桜 | 作成日時：2021年6月16日 11時
