失踪 ページ46
「今、なんつった…？」
「ですから、先ほど述べた通りです。路々森様は自らゲームを辞退されました。
もうこのタワーには戻りません」
束の間の幸せから地獄へと突き落とされる。
背筋が急激に冷えていくのを感じた。
・・・・・・
昨日のことが嘘のように険悪な雰囲気のラウンジ。今朝、何の前触れもなしに告げられたのはユズさんのリタイア。
全員で探せる範囲を探したが、ユズさんは見つかることなく夜になってしまった。
「なんでユズがリタイアすんだよ」
ガツンッと大きな音を立て机を蹴りつけるアンヤ君。「アン坊、物に当たるのはよくないぞ」と注意する声はもう聞こえない。
「パカがなにかけしかけたんじゃないのか。鬼ヶ崎の時のように」
「なにかってなんだよ」
「俺が知るか。少しは自分で考えろ」
忍霧さんの言い方もいつもよりキツい気がする。不安なのは皆一緒か…。
「…そうかよ。テメーはなにか知ってんじゃねーのか？」
「駆堂さん…」
「鬼ヤローとコソコソ嗅ぎまわってただろ。気づいてねーとでも思ってたのか」
「……それは…」
アンヤ君の言葉にあからさまに狼狽えている忍霧さん。仲間同士で疑い合うのを見ていたくない。
「アンヤ君待って、落ち着いて話を…」
「A、テメーもなにか隠してんだろ」
「……隠してなんか、ないよ…」
怒りの矛先が自分へと向き、核心をつかれる。
顔を見ていられなくて思わず目をそらしたけど、きっとまだ睨まれてるんだろうなぁ。
そんな私を隠すように鬼ヶ崎さんが前へ出る。
「よしな駆堂。ヒスで八つ当たりなんざみっともないぜ」
「……テメーにも言ってんだよ」
「あの…っ」
一触即発のピリついた二人を横目に、声をあげたのはヒミコちゃん。いつも以上に萎縮してしまっている。
「ユズさんは…結局、白の部屋にはいなかったんですよね…」
「はい。念のためユズ先輩の部屋も見てきたんですがもぬけの殻でした。パカさんも行き先までは知らないそうです」
「パカさんの言うことはいまいち信用できないけど…」
ユズさんの部屋に唯一残っていたのはアカツキ君の人形だけ。まるで最初からいなかったかのように綺麗な部屋に怖くなった。
どんな思いであの部屋を出たんだろうか、私たちの前から姿を消したのだろうか。
今となってはなにもわからない。
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冬桜(プロフ) - バギアスさん» 嬉しいです🐱ありがとうございます！近々少しですが更新する予定ですm(_ _)m (2022年6月1日 16時) (
レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
バギアス(プロフ) - 面白い ハマった (2022年6月1日 16時) (レス) @page35 id: 9d13356054 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 時夜さん» 感想ありがとうございます！更新する予定なのですが、少々忙しくて書くのが遅れてまして…すみませんがお待ちください！m(_ _)m (2021年10月17日 15時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
時夜(プロフ) - 面白かったです！更新ってされますかね？ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 61e78b8a54 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！頑張ります(^-^) (2021年9月1日 21時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬桜 | 作成日時：2021年6月16日 11時
