和解 ページ35
1階に到着し開いた扉の先には、探索してたであろう鬼ヶ崎さんの姿。お互いに何を言うわけでもなく呆然と立ちつくす。
うん、いまのうちに逃げよう。
外へと繋がる扉目掛けて足早にその場を去る、
「Aちゃん…！」
つもりだったのに、いつの間にか距離を縮められ腕を捕まれる。一体なんだと言うんだ。
「……なにか？」
「どこか、行くのかィ？」
「少し散歩に行くだけです。……手、離して下さい」
私が何処に行こうと勝手じゃないか。
行き先を告げたにも関わらず捕まれたまま……何なんだとも思ったが
「あぁ、監視でもしますか？私一人だと何しててもわからないですもんね」
「っ……そんなこと思ってねえ、ってのも信用できねェよな…」
「できませんよ。今更何なんですか」
私の言葉に辛そうな顔をする鬼ヶ崎さん。
信じてたのに疑われて、辛いのは私も同じなのに罪悪感がでてくる。
「少しでいい、俺の話を聞いちゃくれねぇかィ？」
「……手短にお願いします」
私が逃げないことがわかったからか手を離し、向かい合う形になる。鬼ヶ崎さんとこうやって話したのはあの時以来か。
「……あの時は悪かった。どうしても謝りたかったんでぇ」
真剣な表情のまま私に向かって頭を下げる鬼ヶ崎さん。彼らしくない行動に動揺してしまう。
「もう、いいですから。頭上げてください」
「つい苛立ってな。思ってもねえこと言っちまった……本当にすまねぇ…」
すごくショックだったのは確かだ。だけど…
「いえ、私も思ってないこと言っちゃいましたから。すみませんでした…」
お互いに頭を下げ謝りあう私たちは周りから見ればさぞ奇妙だろうな。少しだけ可笑しくなってしまう。
このまま怒り続けてても何一つ、良いことなんてないんだよね、
「あの、お互い様ってことでこれで良しとしませんか？」
「俺ァいいが、Aちゃんはいいのかい？許してもらえねぇ覚悟で来たんだが……」
「正直まだ許すとは言えないです。でもこの間に何かあったりしても大変ですし…とりあえず、と言うことで…」
まだゲームは続くから仲間割れをしている場合ではない。鬼ヶ崎さんの協力がなければ皆を守ることも厳しくなってしまう。
「ありがとな、Aちゃん。…今度はお前さんの信用を裏切ったりしねぇ」
「…本当にお願いします」
今度こそ信じますよ鬼ヶ崎さん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬桜(プロフ) - バギアスさん» 嬉しいです🐱ありがとうございます！近々少しですが更新する予定ですm(_ _)m (2022年6月1日 16時) (
レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
バギアス(プロフ) - 面白い ハマった (2022年6月1日 16時) (レス) @page35 id: 9d13356054 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 時夜さん» 感想ありがとうございます！更新する予定なのですが、少々忙しくて書くのが遅れてまして…すみませんがお待ちください！m(_ _)m (2021年10月17日 15時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
時夜(プロフ) - 面白かったです！更新ってされますかね？ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 61e78b8a54 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！頑張ります(^-^) (2021年9月1日 21時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬桜 | 作成日時：2021年6月16日 11時
