仲間 ページ19
皆からの説教後、ユズさんに呼び出された。
「全然元気なんだけどな…」
怪我なんてしてないと言ったが、余程信用がないらしく、自らの目で確認するとのこと。
「確認とは嫌な予感……っと、着いた」
遠くもないからすぐに医務室に到着。
先に呼び出されたアカツキ君はまだいるだろうか？
一応ノックをするため扉に近づいた時、
「もしボクがいなくなっても君はもう大丈夫だな」
「っ……！」
思わず声が出そうになり急いで口を押さえる。まあ、バレてるかもしれないが…
そうだ、この後アカツキ君は
＿＿大丈夫ですよ。俺はもうずっとひとりでも大丈夫です。
彼に悪気などなかったのはわかってる。
だけど、この言葉でユズさんの中の何かが切れてしまったんだろうな……。
知っていたとは言え聞いてしまった罪悪感がある。入りづらいなと考えていると突然開く扉。
「あ、Aさん遅いですよ。ユズ先輩待ってたんですから！」
「……ごめんね、遅くなっちゃった。アカツキ君はもう終わったの？」
「はい！ギプスは外れなかったですけど、大丈夫なので部屋に戻る許可もらいました！」
私を中に通し、笑顔で医務室を出ていくアカツキ君。背を向け黙っているユズさんの表情はわからない。
「ユズさ＿＿」
「ザッキー、逃げたのかと思って探しに行くところだったぞ！」
冗談を言いながら振り返ったユズさんは、いつも通りの笑顔。
「さぁ、早く座りたまえ。怪我がないか確認しよう」
「…大丈夫、ですか？」
いや、大丈夫じゃないに決まってる。こんなことが言いたいんじゃないんだ。
「……なんの事だい？」
「いなくなるって…言ってましたよね、」
「もしも、の話に決まってるだろう？大体、君もボクがいなくなっても平気そうだ」
微かに影を帯びるユズさん。その表情は今まで見たことない程に、辛そうだった。
「…そうですね、平気だと思います」
「……容赦ないね」
私の言葉じゃユズさんには届かないんだろう。だけど、それでもいい。
「だってユズさんがいなくなっても探し出しますから」
「は……？」
予想外の言葉だったらしく、呆然とするユズさんに笑顔で言い放つ。
「そんな簡単に諦めません。嫌がっても一緒にいさせますよ。…私けっこうしつこいですから、覚悟してて下さい」
「……ザッキーには敵わないな」
表情はわからなかったが、その声は何処か嬉しそうだった。少しでも心の支えになりたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬桜(プロフ) - バギアスさん» 嬉しいです🐱ありがとうございます！近々少しですが更新する予定ですm(_ _)m (2022年6月1日 16時) (
レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
バギアス(プロフ) - 面白い ハマった (2022年6月1日 16時) (レス) @page35 id: 9d13356054 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 時夜さん» 感想ありがとうございます！更新する予定なのですが、少々忙しくて書くのが遅れてまして…すみませんがお待ちください！m(_ _)m (2021年10月17日 15時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
時夜(プロフ) - 面白かったです！更新ってされますかね？ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 61e78b8a54 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！頑張ります(^-^) (2021年9月1日 21時) (レス) id: 740eef171a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬桜 | 作成日時：2021年6月16日 11時
