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行先もなにも考えずに無我夢中で走った。
だけど陸上部の勝利くんを簡単に巻けるはずもなくて……
勝「 A!なんで逃げるの? 」
私の顔を覗き込んだ勝利くんが目を見開くのが分かった。
すると勝利くんに引っ張られていた腕に、私の目から零れ落ちた涙が一粒。
泣いていることにすら気づかず走り続けていた自分に驚く。
このなんとも言えない状況に周りからの視線を感じたのか「 ちょっと来て 」と腕を引っ張られて空き教室に入る。
教室に入った瞬間 感じる温もり。
勝「 我慢しないでいいから……一人で泣かないで。 」
勝利くんの優しさに再び溢れる涙。
勝「 もう、泣きすぎ。(笑) 」
我慢しないでいいって言ったのは勝利くんじゃん、とツッコミたくても突っ込めない。
ひとしきりに泣いたあと、優しく
勝「 何があったの? 」
と聞かれると、口が勝手に喋り出す。
『 あのね……、私 勝利くんの誕生日が今日だって知らなかったの…だから彼女なのにプレゼントも用意出来なくて、何もしてあげられない自分に嫌気がさして、勝利くんの隣にいるのが恥ずかしかった…… 』
勝「 ……そんなの要らないよ。 」
『 ……っ、 』
予想外だった勝利くんの言葉に、びっくりして言葉が出ない。
勝「 俺プレゼントとか要らないから、俺のために泣かないで…?Aが笑っててくれたらそれでいいから。 」
勝利くんの言葉に再び溢れる涙。
勝「 今 俺のために泣かないでって言ったばっかじゃん…(笑)
でもありがとね。そこまで俺のこと思ってくれてて。 」
そのセリフと共に甘い口付けが降ってくる。
『 勝利くん…っ、お誕生日おめでとう。大好きだよ 』
勝「 ありがとう、俺も…大好き。 」
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作者名:たんと | 作成日時:2019年1月29日 17時