恋する太陽10 ページ3
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静かな部屋に、僕の告白は溶けていった。
Aはなにも言わない。 後ろから抱いているから、顔は見えない。ただ浅く動く肩が見えるだけ。
『……わたし、やっぱり いまも和樹が好き』
「うん、知ってるよ」
『ようへいく…』
ぎゅ、と抱きしめる力を強めて、彼女の肩に額を付ける。
「待ってる。Aがあんな奴のこと忘れて、僕のこと見てくれるのを。ゆっくりでいいから、いつか、こっち向いてよ」
ぱ、とAを放すと、すぐに彼女は立ち上がり、真っ赤な顔でこちらを見る。ああもう、本当に可愛いなあ。
「…顔、あっか」
『う、うるさいな…もう、夕飯作るよ。ようへいくんも手伝って』
ぷい、と踵を返し、台所へ駆けていく後ろ姿を見ていた。
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夜7時にガチャ、と玄関が開いたと思えば、みんなが帰ってきた。
はじめくんは真っ先にAに駆け寄り、「大会で優勝した」とはしゃぐ。
だいちくんはAの袖を引き、今日の夕飯はなに、と話しかける。
たなっちは彼女にお土産を渡し、ともたかも恥ずかしそうに彼女に話しかける。
『もう、みんなまずは手を洗ってきて!インフル流行ってるんだから』
べったりくっつく四人を一蹴して、洗面所へ押し込んだ。
Aよりもずっと背が高い男四人が、彼女の言うことを眉を下げて聞いているのが、なんだか面白い。
A、僕たちみんなきみが好きだよ。
いつも僕たちに優しくて、時には怒ってくれて、太陽みたいな存在なんだ。
太陽を独り占めしたい、だなんて、甚だ可笑しくて滑稽で、無謀な話だ。
だけど__。
「ねえA、煮込んでる間、二人でジェンガしようよ」
『ジェンガ?いいよ!』
Aの手を引いて、テーブルに着く。
四人がいない時、隙あらば僕は抜け駆けするよ。
「よーし、A!おいら手洗ったよ…って、ねえズルい!二人でジェンガやろうとしてる!」
「やべ、見つかった」
「ようへいくんずるいですよ」
「オレもやる〜!ともたかぁ、いつまで洗ってんの?」
「はぁい!」
わらわらと戻ってくる四人にため息をついた。
こうなったら、明日きみをデートにでも誘おうか。
◎恋する太陽
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乙愛 - ごめんなさい、見えてる心でした (2019年8月3日 8時) (レス) id: c62fef2391 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - 見える心って終わりですか!? (2019年8月3日 8時) (レス) id: c62fef2391 (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ性中毒 - 続きが楽しみですだいちくんもっと出して欲しいです! (2019年1月14日 10時) (レス) id: 02338b78c4 (このIDを非表示/違反報告)
結衣子(プロフ) - oharuさん» 今私も検索したら出てきて驚愕しました…汗 BL作品ではないのですが…検索に引っかかって多くの人に読んでもらえるのなら嬉しいです!これからもよろしくお願いします。 (2019年1月7日 2時) (レス) id: ca85ba4147 (このIDを非表示/違反報告)
oharu(プロフ) - 今日、はじめんのBLググろうと思って、「はじめしゃちょー BL」だったかな?で、ググッたら占ツク出てきて、説明欄見たら結衣子さんのこの作品でして!もうビックリしました!さすがですね!私も見習お…… (2019年1月7日 1時) (レス) id: c4b3031a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結衣子 | 作成日時:2019年1月5日 17時