(終)10.銀色の約束(p.2) ページ27
「……ともやん」
寒い中歩いてきたのか、鼻を赤くして笑うともやんがそこに立っていた。
「A驚いた？夕闇もくるからピザたくさん用意したんだわ」
「久しぶりてつやくん。はは、固まってるよこの子」
後から部屋に入ってきた小柳さんはマフラーを外しながら笑って言った。
少し髪が伸びて、金髪じゃなくて黒に近い茶髪に変わっていた彼は夏よりずっと大人びて見えた。
ずっとずっと、会いたかった人が、触れられる距離にいる。
なのに、声が出ない。話したいこと、たくさんあったのに。
「…あー…てつやくんごめん、この子ちょっと借りてもいい？」
「ああもう、どうぞお好きに」
「はは、ありがと。A 行こう」
「わ、」
優しく目を細めて笑ったともやんは、私の手首を掴んでドアを開けた。
〇
「うわ〜さみー！」
「ね、今年は雪降るかなあ」
「愛知 言うて暖かいからね」
マンションを出てすぐの階段に私達は腰を下ろした。
マフラーに顔の半分を埋めてともやんは寒そうにしている。
「…久しぶりだね」
「うん。Aは髪伸びたね」
「ともやんも、……茶色になってる」
「ああ、はは。こっちのが落ち着いてるっしょ」
「え、私はどっちも好きだよ」
「え、…そう？ありがと」
少しの沈黙のあと、ともやんは一呼吸置いて、私の手を取った。温かい手だ。
「うわ冷た」
「はは。ほんとね」
「や、そんなのはどうでもよくて、…バングル、取っていい？」
「あっ、うん」
するりと丁寧に外されていくバングルが、少しだけ名残惜しかった。
毎日毎日あれを見つめていたから。
「…A」
「うん、」
「待たせてごめん」
「うん」
「連絡も、全部取れなくて、ごめん」
「…ううん平気だったよ」
「A」
綺麗な一重目で、まっすぐ私を見つめるともやんは、一呼吸置いて、告げる。
「Aが好き。こんな俺でよかったら、付き合って…ください」
「ともやん、うれしい。ありがとう…」
ぎゅう、と抱きついた。
はは、と ともやんは笑っている。
手首から消えた銀色は、もう要らない。
終わり
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A(プロフ) - ほんとに何回も読み返して楽しませていただいてます！そうなんですね…また気が向いくことがあれば長編書いてくれたら嬉しいです！！発想力とかほんとに無くて良いのあればまたコメントさせてもらいますね；； (2020年9月11日 15時) (
レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
結衣子(プロフ) - Aさん» ですが、具体的なリクエストなどあればやや長めのお話は書けそうです。何かあればまたご連絡ください。コメントありがとうございました！ (2020年9月5日 22時) (レス) id: d2ff6ba012 (このIDを非表示/違反報告)
結衣子(プロフ) - Aさん» だいぶ昔の作品で拙い点ばかりで恥ずかしいのですが、読んでいただける方がいることに感動しています…！最近は他のYouTuberさんを書いていてタ闇に当てる時間が取れず長編は厳しそうです…申し訳ありません… (2020年9月5日 22時) (レス) id: d2ff6ba012 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - この作品好きで何回も読み返してます; ;結衣子さんの書く文章好きなのでまた長編読めたら嬉しいです！楽しみにしてます！！ (2020年9月3日 1時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
ringoimo0123(プロフ) - ゆにさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです…。ゆにさんの作品、読みに行って来ました 猫ともやん可愛すぎてドキドキしました…！こんな素敵な作者様に読んでいただけて本当に光栄です！私も、ゆにさんの二次創作活動応援しています！ (2018年12月28日 9時) (レス) id: ca85ba4147 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結衣子 | 作成日時：2018年8月10日 22時
