冬の約束

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「お、上手にはし使うね〜｣


かんしんかんしんって横からも先生が褒めて、大ちゃんはへへって嬉しそうだ。高校生なんだし箸くらい使えるでしょ


「うん、教えてもらったんだ。ソバで練習したし｣
「蕎麦かぁ…いいねぇ｣


いつも思うけど呑気な先生だ。
頬杖ついて大ちゃんがうどんをぷるぷるしながら口に入れるのを眺める。あって思いついて、ポケットから携帯を出した。

ｶｼｬｯ

あっまたこの人は生徒の隠し撮りを！！隠れてないし堂々と撮ってるけど！！先生がそれやってんのちょっと危ない気がする！


「きつねうどん初体験｣
「せんせ、それ撮ってどうすんの？｣
「んー？成長の記録よ。見せなきゃね、保護者に｣
「大ちゃんの保護者って…｣

「うっまぁー！！なにこれっ！｣

「え？大ちゃんちょっと！あー！｣

おれが大事にとっといたお揚げ！！！
ちょっとだけってあげたのに、大ちゃんは美味しさに感動して空腹もあってかそのまま全部食べちゃった。お揚げも全部食べられて、俺はショックで固まる。


「おれの……お揚げ……｣
「あーぁ…お腹も空いてたんだねぇ｣
「ごちそーさまっ。これぇ、すごい美味しい…｣
「大ちゃんおれの……はぁ、仕方ない。カレー買いいこ！｣


大ちゃんの満足げな顔見てたら文句言えなくなっちゃった。タダ券はもう一枚あるし、カレーも食べたいって言ってたし。
ただしカレーは半分こだ。おれのきつねうどん半分取ったからな！

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