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結局ひとり寂しく食堂できつねうどんをすすってたとき、居なくなったやつがすぐ戻ってきた。隣に居るのは薮先生だ。
「あぁいたいた。伊野尾くん」
「あ、戻ってきた」
「…………」
大ちゃんの眉間にはシワがよってて、瓶底メガネの向こうの目がうるうるして、まさか泣いてたのか?俺が食べてるうどんをじっと見つめて、まるで疑いの目。
「だいき、ほら、キツネじゃないでしょ。お揚げだよ」
「…ほんとだ」
「たぬきうどんも、別にたぬきの肉入ってるわけじゃないから。……何が入ってんだっけ?」
「たぬきは天かすがのってるやつですよ。具が無いからタネ抜き、略してたぬき。」
「おおっ伊野尾くん詳しいね。ほらな、だからタヌキとぜんぜん関係ないから」
「……………うん…」
「だから安心しなさい。お昼食べてないんだろ?」
こくっと頷いて、俺んとこにやってきた。
「おれカレーにする……。買い方おしえて」
「ん。いいけど、うどん伸びちゃうから食べてい?」
「……おいしいの?それ」
「ちょっと食べる?」
「…………」
ドン引きした目で困って、薮先生の方を向く。
「社会勉強だよ」って一言言われて、大ちゃんは決心した顔で返事した
「た……べます…。」
いやこれただのきつねうどんだけど。そんな意を決して食べるもんじゃないんだけどな。
大ちゃんまじで相当な世間知らず。
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けーまま(プロフ) - タヌキの大ちゃん!!相変わらず瓶底メガネなんですね…かわいいᐢ⓿ᴥ⓿ᐢヘトヘトになるまで郵便屋さん頑張る健気な大ちゃんのお話が楽しみです😊 (2023年4月24日 14時) (レス) @page2 id: 3a21aa44cd (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - こんにちは。スピンオフ嬉しいです!!だいちゃんの活躍が楽しみです^ ^ (2023年4月24日 10時) (レス) id: 106f0992f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2023年4月23日 19時