39:思い ページ42
謝罪の声はとても大きく、クラス中からの視線が痛い
『えっ、と切島君？顔上げて………なんで謝るの…』
もう訳分かんなくて、こんな言葉しか出てこなかった
数秒後にガバッと勢いよく頭を上げた切島君と目が合う
その真剣な眼差しに射抜かれて、あぁ、この謝罪は本気の奴だと分かった
｢A、俺……お前に酷いことした。いきなり突き放すようなことして……悪かった！！！｣
やっぱり………
距離置こうとしてたんだ……
でも、それならなんで謝るの……？
でも、昨日の私の言動に怒って突き放そうとしたけど、優しい切島君の事だから、謝ってくれたんだろう。
そう解釈した私は
『あの時の私の言い方が良くなかったんだし……私の方こそごめんね！』
勢いよく頭を下げると、
｢なんの話だ？俺は俺が勝手にAに酷いことしたから謝ってるだけで……Aが謝ることじゃねぇぞ？｣
と頭上から｢なんで謝ってるのか不思議だ」とでも言いたそうな声が聞こえる
『えっ？だって私の言い方に怒ったから距離置こうとしてたんじゃないの？』
｢いや、違うけど…………｣
『じゃあなんで距離置こうとしてたのよ！』
｢……が、………だから………昨日………くて｣
頼りないはっきりしない声が耳をかすめる
『切島君？』
名前を呼んでみると、目を見開いたあと、盛大な深呼吸をし始めた
スゥッ！！！
｢俺、俺！Aが好きだ！｣
3年A組:(！！！！！！！)
『え？は？何言って………』
｢俺、Aが好きだから、昨日、他に好きな人がいるって聞いた時、焦ったんだ。だからお前に｢好きな人って誰なんだ？｣って聞いたんだ。｣
信じられない。
切島君が私を好きだったと聞いて、心臓がうるさい。嬉しすぎて空が飛べそうなくらい心が踊る
『だから……私の好きな人聞いたの……？』
｢そう。でも、関係ないでしょ！って言われて、正論なんだけど、ショックでさ……男らしくないよな……本当にすまなかった！｣
あぁ、切島君のそうやってまっすぐに心をぶつけてくる所が本当に好きだ。
『私も………』
｢え？｣
『私も謝らないといけないことがあるの。』
｢謝らないといけないこと？｣
『うん。あのね、私、切島君が好きなの！だから、昨日好きな人って誰？って聞かれて、恥ずかしくて………だからつい冷たい態度とっちゃって…切島君に嫌な思いさせて……本当にごめんなさい！』
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作者名：クテシフォンらるるん | 作成日時：2020年12月9日 17時
