38:混乱 ページ41
今日は雨。
昨日の夜、切島君からもう一緒に登校出来ないと電話が来て、返事をする前に切られてしまった
私、嫌われたのかな…………
どうしてあの時、｢切島君には関係ないでしょ！」なんて言っちゃったんだろう
でも、好きな人に｢好きな人って誰なんだ？｣って聞かれたら、誰だって動揺すると思う。
でも、動揺していたとはいえ
言葉で切島君を傷つけてしまった。
私、不器用だな……………
ため息を吐くと、どんよりした空が余計に重く感じる
(うじうじしてられない！嫌われたかもしれないけどまずはちゃんと謝らないと！)
学校に着くと、焦凍がいた
昨日の事もあって気まずいけど、友達続けることになったんだから、自然に話しかけなきゃ！
『お、おはよう。焦凍』
｢Aか、おはよう。って、おい。それどうした？目の隈……｣
『えっ？』
慌ててカバンから手鏡を取り出して顔を見る
目には薄く黒い隈が出来ていて、毛穴も開いてる
｢眠れなかったのか？｣
焦凍が心配そうに顔を覗き込む
隈を見られたくなくて、反射的に顔を手で隠しながら、『あまり寝れなくて』と答える
昨日、切島君からの電話がショックで眠れなかったなんて言えないけど……
朝、ちゃんと鏡を見たつもりでいた。顔も洗ったし、髪の毛も綺麗にセットした
でも、目の隈には気づけなかった。それだけ、切島君の事で頭がいっぱいだったと思うと恥ずかしい
｢そうか、ちゃんと寝ねェと体壊すぞ｣
『うん、分かってるよ。心配してくれてありがとう』
芦戸:｢おっはよー！みんな！｣
雨模様を吹き飛ばすような笑顔で教室に入ってきたのは三奈ちゃんだ
｢あれ？どうしたのその隈！大丈夫！？｣
すぐに私の隈に気づく三奈ちゃん。よく周りを見てるなぁなんて上から目線なことを思ってしまう
『大丈夫大丈夫！昨日眠れなくて……もう平気だから！』
精一杯の笑顔で返すと、｢無理しちゃダメだよ｣と笑って返してくれる
そして、スっと視線を入り口に向けた時
『っ！』
切島君がいた。目が合った瞬間、こちらへドスドスと歩いてくる
切島君、
どうして真顔？
どうしてこっちに来てるの？
私の事嫌いになったんじゃないの？
怒ってるの？
どうしよう……どう反応したらいいんだろう？
と、私の頭は混乱していた
気付くと、彼は私の席の前で止まっていた
そして勢いよく頭を下げた
｢A！すまなかった！！！！！！｣
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作者名：クテシフォンらるるん | 作成日時：2020年12月9日 17時
