18:轟君とデート ページ21
週末……
午前中轟君。午後切島君。と出かけることになった
待ち合わせ場所に着くと、黒のジーンズに白のワイシャツ。凄いオシャレな訳では無いのに、黒のジーンズが彼の長い足を引き立たせ、白のワイシャツが爽やかに見える
『かっこいい……』
思わず漏れてしまった声。気づいた時にはもう遅く、轟君は少し驚いた顔した後微笑んだ
｢何してる、早く来い」
『ご、ごめんね、待たせちゃったかな……？』
｢いや、待ってない。そんなことよりその服……似合ってる｣
『あ、ありがとう。なんか恥ずかしいや……』
優しい笑みと紳士的対応。男の人に免疫のない私はすぐにドキドキしてしまう。『行こっか……』紛らわすようにそう言って、前へ踏み出した時、ふと左手に温もりを感じた
『えっ？』
｢手……迷子にならないように……｣
『ま、迷子って……私轟君と同い年なんだけど……』
｢いいから。あと、この間みたいに名前で呼んでくれ｣
『えっ？わ、分かった……よ』
一瞬、手を振りほどこうとしたけど、轟君……いや、焦凍君の握る強さの方が強くて、結局繋いだままにすることにした
町にでると、やっぱり凄くかった。神社に引きこもって、田舎で生きてた私からしたら電化製品が魔法道具に見えてたけど、インテリアや服なんてとっても可愛かった！
ちなみに、私の私服はそんなにオシャレじゃないし、ほとんどの服は和服だから、今日のコーディネートはミッドナイト先生がしてくれたのだ
『っはあ！楽しかった！町で好きなように買い物なんて初めてだからすっごく嬉しい！ありがとう焦凍君！』
｢あぁ、Aが喜んでくれたなら良かった。もう買い物はいいのか？｣
『うん！ありがとう！私ばっかりでつまらなかったよね、ごめんね。焦凍君は欲しいものとかある？』
｢そうだな……なら、プレゼントさせてくれ｣
『プ、プレゼント？いいよ。今日誘ってくれたことがプレゼントだもん！』
｢いや、でも……｣
なかなか食い下がらない焦凍君に、仕方なく『なんのプレゼントなの？』と聞いてみた
｢お揃いの……指輪｣
は？と言いそうになるのを抑えながらも、私は動揺を隠しきれなかった
『お、重いよ……焦凍君も冗談とか言うんだね。指輪なんて、恋人じゃないんだから……き、気持ちだけ！気持ちだけ受け取っておくね！』
｢……悪い。そうだよな。今日はありがとな｣
轟君とデート(完)
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作者名：クテシフォンらるるん | 作成日時：2020年12月9日 17時
